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機動戦士Zガンダム
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機動戦士ガンダムZZ
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機動新世紀ガンダムX
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  • 2030-09-18(Wed) 00:00:00
  • Category: 未分類

荒俣宏……人類の叡智に欲情する現代の魔術師『異都発掘【新東京物語】』



夢にまで見た(べつに見たくもなかったが)荒俣宏

真夏の暑さに意識を半分失いかけていたとき、ぼうっとしたわたしの頭に浮かんだのは荒俣宏(あらまたひろし)でした。

こちらに背を向けた巨漢の荒俣宏に対し、わたしは、
「クマと素手で戦えるか?……どうなんだ、素手で戦えるならマッチメイクしてやるぞ……クマと素手でだ。どうだ? クマと素手で戦えるなら、俺がマッチメイクしてやる!」
としきりに、荒俣宏に対して叫んでいるのです。
荒俣宏は気乗りしない顔をして、わたしに背を向け、ただ黙っているだけでした。

これは、なに?
潜在的願望?
『あしたのジョー』の丹下段平(たんげ だんぺい)よろしく、クマとの素手での闘いをけしかけるのが?
しかも、なぜ、荒俣宏?
嫌いではないですが、著書をたくさん読んでいるわけでもありません。

寝てはいませんが、これは半覚醒状態の真夏の白日夢?
汗が肌に重くまといつく真夏の白日夢なら、どうせなら美女に出てきてもらいたいのですが、どうして荒俣先生が……。

しかし、なにかの縁ということで、荒俣宏のことをちょっと。




テレビでは別の顔(by真夜中は別の顔)

テレビに出演しているときの荒俣宏は、だいぶ、自分に制限をかけているように思います。

テレビだと、だいたい、同行しているタレントなり、芸能人なりの質問や問いかけを受けてコメントするというスタイルです。
コメントはさほど長くなく、簡潔にして要点を得ています。
ですから、聞きやすいし、理解しやすい。
そのため、知識がふんだんにありながら、社会性あり、協調性あり、分別のある大人という印象をお持ちの方もけっこういらっしゃるのではないでしょうか?

しかし、荒俣の著書を読むと、そんなことはないことに気づくかもしれません。




荒俣、人類の叡智に陶酔

テレビでの荒俣の発言はわかりやすく、理解も容易です。
なにしろ、当たり障りのないことを言っているのでそれも当然かと。

しかし、著書になるとそうはいきません。
シャイで内弁慶かと思われる荒俣は、自分の世界……著書になるとおのれの趣味性を全開にします。
高度で難解なことを「理解していますね」という前提のもとに論を進めていくため、いともあっさりと置いて行かれてしまうのです。
はまるとおもしろすぎなのですが、はまらないとなにがおもしろいのかわからなくなります。
そうなると、こちらはついていけない。

たとえば、日本におけるコロニアル建築(植民地建築)。
マリアナ、カロリン、マーシャル群島など南太平洋を植民地にした戦前の日本国内では、南太平洋をイメージした、日よけ付きのベランダで周囲を取り巻き、シュロやヤシを植えた洋館が流行しました(参考文献:『異都発掘』【新東京物語】荒俣宏)。
この南方趣味が、いかに東京市民の心を魅了したかを力説し、またその痕跡を訪れては恍惚(こうこつ)の境地にひたります。
しかし、コロニアル建築の知識に関してとぼしく、さしたる思い入れもないわたしは戸惑います。
だが、荒俣は人類の叡智(えいち)に欲情するかのごとく、とどまることなく南方趣味への熱き想いを書き綴っていくのです。




隠れた神
隠された大黒様

しかし、はまるとしびれるような快感が生まれます。
知識の快楽に溺れている荒俣と共鳴するのです。
マニアックであるからこそ、合致したときには共感も大きい。
『エヴァンゲリオン』のシンクロみたいなものです。

たとえば、ほぼ都電からしか見ることができない大黒像。
東京新橋にある道路沿いの古い商店ビル上方に鎮座する大黒様は、角度的に背の高い都電(現在は廃止)からしか見えません。
例外的に、バスなどがセンターライン近くを走っているときに偶然にやっと目につくことがあります。
それ以外は、そこに存在している大黒様は、多くの人たちにとって「ないもの」に等しい存在になります。
それも都電が廃止されることにより、ますます「ないもの」に等しい存在に。
荒俣は言います、
「あの大黒は「隠れた都市の神」にならざるを得なかったのだった」
と。
(参考・抜粋文献『異都発掘【新東京物語】』荒俣宏)

「隠された神」というものに、妙な神秘性と畏怖を感じるわたしは、ここでやられてしまうわけです。
「隠れた神」というのは日本の神話では重要な概念です。
端的に言って、神様の不幸……死を匂わせるときに良く使われる表現です。
天照大御神(あまてらすおおみかみ)の「天の岩戸(あまのいわと)」、大国主命(おおくにぬしのみこと)の「国譲り」など。
神話や宗教にも超天才的な知識を持っている荒俣は、それらのことを踏まえて「隠れた都市の神」のことを語っているのだろうと思われます。
著書にそのことは書かれていませんが、なにやらあやしい「隠れた都市の神」に荒俣は惹かれ、このいわくありげな新橋の大黒様のことを著述したのだと思います。




偉大なる暗黒の神・マハーカーラ

それと、荒俣宏の著書から離れて大黒様についてもう一つ。
商店ビルの上方にあるので、この大黒様は商売繁盛の神として祀られているのでしょう。
しかし、大黒様は様々な顔を持っています。
七福神の一柱として福福しいお顔をしておられる大黒様。
ですが、もともとはヒンドゥー教の神様です。
マハーカーラという神様です。
マハーとは「大」や「偉大」、カーラとは「時」や「黒(暗黒)」のこと。
偉大なる暗黒の神様がマハーカーラ。
破壊神シヴァの化身した姿です。
シヴァ神の夜の姿。
そして、世界を最後に破壊するときにシヴァ神が化身する恐ろしい黒い姿。
そう考えると、その大黒様がほとんどの人に気づかれることなくビルの上方に安置されているというのはなんとなく怖いことです。




叡智には荒俣を
白昼夢には美女を

かように荒俣は、著書において、おのれの欲望のおもむくままマニアックな著述にまい進します。
ついていくのは大変です。
しかし、はまると快楽は大きい。

だいたいにおいて、さほど興味のなかったコロニアル建築についてもいまは影響を受けています。
とある廃墟同然の洋館を目にしては、
『この洋館は、なにやら南方的な……これは荒俣宏が書いていた……』
などと、ぶつくさ心の中でつぶやいている自分がいるのです。
この強い影響力は、膨大な知識と知恵に裏打ちされた荒俣への信頼感がもたらすものでしょう。
その荒俣の叡智は、現代の魔術師に例えられましょうか。

ただし、願わくは、真夏の白昼夢には荒俣でなく、美女が脳裏にあらわれ出んことを。

大手町駅……大手町ウォーズ【『アニメワールド・スターチャイルドステーション』栃木放送】



大手町ウォーズ……ラジオの中の戦争


「大手町ウォーズ」という言葉を耳にしたのは、中学1年か2年(1984~86)のときでした。
『アニメワールド・スターチャイルドステーション』(1982年11月~87年3月)という栃木放送をキー局とするアニメラジオにおいてです。

発言者は、声優の神谷明(かみやあきら。代表作『キン肉マン』キン肉マン、『北斗の拳』ケンシロウ、『うる星やつら』面堂終太郎.etc)。

大手町駅は、東京の地下鉄駅ではもっとも多い5路線が通っているマンモス駅です。
丸ノ内線、東西線、千代田線、半蔵門線、三田線の5路線。
さらに、これまた大きな駅である東京駅とも複数の地下通路でつながっています。
しかも、大手町(東京都千代田区)は日本経済の中心地であり、丸の内とともに日本屈指のオフィス街を形成しています。

ですから、とくに朝のラッシュ時の乗り換え人数、乗降人数がすさまじい。
これを指して、戦争のようなあわただしさということで「大手町ウォーズ」と呼んでいたようです。
この「大手町ウォーズ」、神谷明さんの周囲でだけ通用する造語なのか、それより広い範囲でも通用するのか不明です。
ただ、すくなくとも神谷さんの周囲の仲間内(声優仲間か? もっと広くアニメ業界仲間か? はたまた、仕事関係以外の仲間か?)では、大手町のラッシュ時のすごさを「大手町ウォーズ」と表現していたようです。

アニメが好きなわたしにとって、憧れの声優さんの発した聞きなれない単語はミステリアスでした。
わたしは生まれも育ちも栃木県で、東京に行くのは台東区に住んでいた従兄妹や伯母の家をおとずれるときくらい。
東京は、親戚の自宅周辺や、良く連れて行ってもらった浅草の遊園地・花屋敷などをちょっと知っている程度。
それも、小学校中学年のころに親戚が東京から引っ越したので、それ以来、東京にはまったく縁のない生活を送っていました。

そんな、ほぼ未知の世界である東京。
そこで営まれているラッシュ時の「大手町ウォーズ」なるものは、中学生のわたしの想像のなかで、なにやら大人の世界の神秘的なにおいに満ち満ちていました。




大手町ウォーズ……東西線にも戦争の余波が


90年代前半、大学進学のため上京しました。
アパートは東京都江戸川区西葛西。
西葛西には東西線が通っていて、わたしの通う大学は東西線沿線にあり、そのため乗り換えの必要はありませんでした。

ただ、「大手町ウォーズ」の一端は、東西線に乗車していても体験することはできました。
西葛西と大学最寄り駅の中間あたりに大手町駅があるのですが、朝のラッシュ時に、大手町駅で大量の乗客がどっと降り、乗客が降り切ると今度はどっと寄せる波のように大勢の乗客が列車に乗り込んできます。

降りた人たちは、東西線以外の四つの地下鉄か東京駅のJR線などへ乗り換える、あるいは大手町のオフィス街へと上陸する人たちでしょう。
乗り込んできた人たちは、四つの地下鉄か東京駅のJRなどから東西線に乗り換えた人たちでしょう。

列車が盛大に吐き出し、ついで勢いよく呑み込むあまりの乗降客の多さに、大手町で起きている「戦争」のすさまじさはある程度、推し量ることができました。




大手町ウォーズ……ついに戦争の渦中へ


大学生のとき、頻繁に故郷の栃木に戻っていました。
授業を終えた金曜午後に大学最寄り駅を出て、大手町で地下鉄東西線から地下鉄千代田線に乗り換え、さらに北千住で東武線に乗り換えて栃木に向かうのです。
月曜の早朝にはその逆、始発列車の東武線に乗って北千住へ、そこで千代田線に乗車して大手町駅で東西線に乗り換え、そこから直接大学へと向かいます。

このとき、大手町駅は朝のラッシュとかさなります。
そのとき初めて、わたしは「大手町ウォーズ」の只中へと踏み込んでいくことになりました。
『アニメワールド・スターチャイルドステーション』で「大手町ウォーズ」の言葉を耳にしてから、7、8年の歳月がたっていました。




大手町ウォーズ……大手町駅の通勤ラッシュは戦場だった、というより冥府の死者の行進か


千代田線から東西線まで乗換所要時間は4分(「乗換案内NEXT」参考)。
建造物のなかの通路の4分というのは、けっこうな距離です。

四方をコンクリートの天井と床と壁に囲まれた、地下の細長い通路を進みます。
視界の届く範囲の前方も、後方も、途切れることのない通勤者たちが、肩を触れ合わんばかりの距離を黙々と歩いています。

地下の通路には、特有の圧迫感がありました。
壁一枚向こうの土の重み。
窓が一切ないことからくる閉塞感。
窓がないため、外光に見放され、薄暗い人工照明に頼らなければならない心細さ。
人工照明のおよばないそこかしこに、地下の土の中へと人を引っ張っていくかのような不吉な印象の陰。

通路を進む通勤者たちに笑顔はありません。
また、寡黙です。
目的の乗換列車に一秒でも早くたどり着くため、歩を運ぶ足に意識を集中しているかのように、表情を押し殺し、黙して語りません。
その沈黙のため、靴が床を踏みつける、カッカッ、なり、ザッザッ、なりの無数の足音が四方をコンクリートで固められた通路にやけに反響していました。

無表情で、一言もしゃべらない、列になって前に進むだけの通勤者たち。
わたしもその例に漏れず、表情もなく、感情も押し殺し、ただ歩を前に進めるだけの通学者でした。
まるで、冥府の細長いトンネルを歩く死者たちの行進のように、うつろな行列が地下通路を延々とつらなり、ただただ寡黙に歩んでいくのでした。



そのとき、わたしは、心の中で中学生のころの自分に語りかけていたかもしれません。
『お前が興味をもっていた「大手町ウォーズ」を俺はいま、経験しているぞ』
と。
ただし、そのような記憶はまったくないので、おそらく、なにも考えずに黙々と歩行者の一人として人の渦の奔流に身をまかせ、地下通路を流れのままに流されていたのでしょう。
そのとき、我知らず、わたしの近くを神谷明さんが歩いてでもいたらちょっとしたドラマになるのでしょうが、現実はそううまくはいかないでしょうね。


『アニメ三銃士』は明るくて楽しいけど……本当は暗くて悲しい『三銃士』



『アニメ三銃士』はもとの『三銃士』にあらず


『アニメ三銃士』も『ワンワン三銃士』、子供版小説『三銃士』も明るく夢に富んだ作品ですが、アレクサンデル・デュマ原作『三銃士』は暗く悲しい作品でした。

『アニメ三銃士』(1987~1989)。
全52話。
NHKで放送。

17世紀のフランス。
ルイ13世(在位1610~1643)の治世。
王家をめぐる陰謀に、地方出身の少年ダルタニャンが大活躍する。
「三銃士」とは、銃士隊におけるダルタニャンの先輩であるアトス、アラミス、ポルトスたちのこと。
ダルタニャンを含めて「四銃士」ということもある。




主題歌『夢冒険』(歌:酒井法子)……栄光と翳り


当時はけっこう話題だった『アニメ三銃士』ですが、いまや忘れられた作品。
もしかしたら、主題歌をおぼえている人はそれなりにいるかもしれません。
『夢冒険』。
この歌は、88年の春の選抜高校野球大会の入場行進曲となったことでも有名です。

歌手も超有名人。
当時、人気絶頂だったアイドル・酒井法子(さかいのりこ/愛称のりピー)が歌っていました。
いまだと、2009年覚せい剤使用で逮捕された印象が強いでしょうか。
「心に冒険を 夢を抱きしめたくて」「心に冒険を 夢が聴こえるよね」など、夢と希望に満ちた『夢冒険』を歌っていた酒井法子が覚せい剤を常用。
アイドルにはまったく興味がなく、酒井法子はわたしにとってほぼ『夢冒険』の人でしたが、乗りの良いこの歌を良く口ずさんでいました。
その酒井法子の逮捕は残念でした。
明るい「のりピー」のイメージとはちがい、私人の酒井法子の生い立ちは暗く悲惨で、覚せい剤を常用しなくてはやっていられない精神構造をしていたのかもしれません。
酒井法子は、運命の犠牲者だったのかもしれません。




主人公ダルタニャンとヒロインのコンスタンスは不倫


『アニメ三銃士』のヒロイン・コンスタンスは、パリ一番の仕立屋であるボナシューの愛娘。
主人公のダルタニャンは、その清純なコンスタンスに一目惚れ。
清く正しい恋の道を突き進みます。

しかし、原作では二人の関係は「不倫」。
年老いたボナシューの若い妻であるコンスタンスは、若い愛人であるダルタニャンと逢瀬(おうせ)をかさねます。
原作『三銃士』は、主人公とヒロインの「不倫」だけでなく、いたるところに不倫関係が。
もちろん、この部分は子供たちが観る『アニメ三銃士』ではカットされています。




コンスタンス毒殺


『アニメ三銃士』のコンスタンスは、いくつもの危機を乗り越えて物語の最後まで生命をまっとうします。
ヒロインが殺害されるアニメを、NHKで放送できるわけはありません。

しかし、原作『三銃士』では毒殺。
フランス王妃(夫はルイ13世)の忠実な侍女であったコンスタンスは、それゆえに政治の陰謀劇に巻き込まれ、反王妃派によって毒殺されてしまいました。
ダルタニャンは、年老いたボナシューが死んだあとコンスタンスと結婚するつもりだったのかもしれませんが、それはかないませんでした。
ダルタニャンは、愛する女性を殺害される悲劇の青年だったのです。




三銃士のリーダー・アトスはアル中


『アニメ三銃士』において、アトスは三銃士のリーダーとして知恵深く人徳ある完璧人間として描かれています。

原作『三銃士』でも、たいへん有能なリーダーであることに変わりはないのですが、いかんせん、アルコール中毒でした。
元妻に裏切られてアルコールに逃げてしまったのです。
映画『三銃士』(1973)では、アトス役の名優オリヴァー・リードが昼間から酒場で豪快に酔いつぶれているシーンが印象的。
わたしにとっての、映画のなかでの泥酔シーンBEST3の一つ。
90年代に観たきりですが、いまでも、酒に酔ったときはこのときのアトスのことを思い出すことがあります。
酒に酔い夢の世界をさまよっているさまは醜くも迫力があり、酔いしれているときのみわたしはアトスになったような気分になります。




男装の麗人アラミスは、原作では男で女たらし


『アニメ三銃士』でアラミスは大人気でした。
凛とした美男子。
しかし、じつは女性で、男装の麗人でした。
大傑作『ベルサイユのばら』のオスカルのように、気高く凛々しく、ちょっと陰のある中性的な女性。
当時の女性アニメファンに、宝塚的な感じで熱狂的に支持されたのがアラミスでした。

しかし原作『三銃士』では、男、しかも女好き。
ただ、かなりの美男子で、教養もあり、詩もたしなむ才人でした。
言い寄った女性を、その美貌と優雅さと知性でとりこにしてしまいます。

『アニメ三銃士』アラミスのストイックさに惹かれた女性ファンの目に、原作アラミスはどう映ったでしょうか。
映画『三銃士』(1973)では、美男子リチャード・チェンバレンが品のあるアラミスを演じていましたが、まちがいなく女たらしでした。




映画『三銃士』……剣での闘いはヘロヘロ


『アニメ三銃士』に限らず、剣の闘いのシーンは軽快この上なし。
剣を縦横無尽に振り回して大活躍します。

しかし、映画『三銃士』(1973)では、剣での闘いが長引くと、ぜいぜいはあはあ息を荒げてヘロヘロになりながら剣を打ち合わせるといったリアルな描写がなされていました。
これは当然です。
剣は、その重さによって敵を叩きのめします。
槍は突いて殺す、剣は叩き殺す。
その重い剣を振り回しているのですから、息が上がるのは当然。
ヘロヘロな描写はかっこうの良いものではありませんでしたが、事実に裏打ちされた迫力と、リアルに根差した妙な説得力がありました。

いまはなきアニメ雑誌『OUT』は、本放送のとき『アニメ三銃士』の特集を組んでいます。
このとき、1973年版映画『三銃士』を取り上げ、息を切らして闘うそのリアルさを絶賛していました。




『アニメ三銃士』と原作『三銃士』


小学5年~中学3年までの悲惨な学校生活とは打って変わった、充実した高校の学校生活。
大学受験の夢を追いかけ、張りのある毎日でした。
その高校時代から、大学受験を急ぎすぎ、受験勉強のために高校(雰囲気の良い高校でしたが偏差値がかなり低く、大学受験には不向きでした)を中退した時期に『アニメ三銃士』は放送していました。
激動の時代、夢中になっていたアニメの一つでした。

『アニメ三銃士』など、我々が知る『三銃士』のほとんどは、ソフトな肌触りに変えられています。
そのため、広く一般に『三銃士』は親しまれているのですが、原作や1973年版映画『三銃士』にもまた別の魅力があります。
暗く悲しい『三銃士』も、たまにはいかがでしょうか。


『サタディ・バチョン』(浜村淳)……土曜深夜、関西から暗い闇を越えて浜村淳がやってくる



土曜の深夜は『サタディ・バチョン』


習慣的に、深夜に起きていた初めての経験は、中学1年生(1984年)のころ。
翌日、学校のない土曜日の深夜。

ラジオ大阪でやっていた、『サタディ・バチョン』というラジオ番組を聴くためでした。
『サタディ・バチョン』の放送期間は1974~91年。
放送時間は時期により変動しましたが、わたしが聴いていた84~86年ころは、23:00~25:00。
今回、ネットで調べるまでは24:00~26:00とばかりおもっていたのですが、もちろんネットのほうが正しいでしょう。

司会は浜村淳(はまむらじゅん)。
京都出身のラジオパーソナリティー/映画評論家。
「浜村節」といわれる独特の口調で、一世を風靡(ふうび)しました。
「それでは(み)なさん、聞いてください」というとき「み」にアクセントをつけるなど、非常に抑揚がきいていてリズミカルで、気分良くその卓越した話術に引き込まれました。
「主人公が走る、走る、走る。殺人鬼が追いかける、追いかける、追いかける」といったような畳みかける口調もテンポ抜群で、芸術的な話術の才能で聴くものをぐいぐい引き込んでいきます。




『サタディ・バチョン』浜村淳……映画にはめっぽう強いが、アニメにはすこぶる弱い


コーナーは、映画紹介、日本史、アニメソングのリクエスト、怪談、時事など。

映画紹介は、あらすじと解説を名口調でじっくりと。
20~30分ぐらいかけて紹介していたでしょうかね?
場合によっては、結末までしゃべってしまうこともけっこうあったとか(たとえば『エンゼル・ハート』)。
作品そのものより、浜村淳のあらすじを聴いているほうがずっとおもしろいという意見も。

日本史は、『古事記』『日本書紀』などを物語風に紹介。
倭建命(やまとたけるのみこと)や有間皇子(ありまのみこ)、大津皇子(おおつのみこ)など、悲運に泣いた人物に焦点を当てていました。
地元の関西の歴史、とくに古代史に力を入れていた印象。

関西は昔からアニメラジオが強かったからか、浜村淳はアニメの門外漢だったようですが、アニメソングのリクエストコーナーや、年に二度ほど聴取率調査に合わせてアニメソングベストテンを開催していたようです。
(アニソンベストテンでは、『蒼き流星SPTレイズナー』OP「メロスのように」が2度連続で1位になったことがあるとか)
しかし、浜村淳にはアニメ知識がないため、アニメ雑誌『OUT』のパロディを真に受け本当のこととして紹介した「やらかし」もあったそう。
(『蒼き流星SPTレイズナー』のレイズナー(青い機体)は、ソ連で放映されたものはソ連の国旗の色である赤に機体カラーが変更されているとか)

ちなみに、代表作を多数もつ有名声優の故・水谷優子さんもリスナーだったようで、「いま、『マシンロボ』というアニメでレイナという役をやってます」というハガキが番組で読まれたこともあったそうです。
『マシンロボ クロノスの大逆襲』は86年7月から87年5月まで放送。
レイナ・ストールは作品のヒロインで、主人公ロム・ストールの妹、「妹ブーム」を巻き起こすほどの絶大な人気をほこりました。
レイナ人気をささえた理由の一つに、初々しく可愛い水谷優子さんの声が挙げられています。

浜村淳というと明るい印象がありますが、深夜という時間帯に合わせ声は低めに。
とくに、はなしの終盤は深夜の闇に消えていくように暗く締めくくっていました。
その口調が、土曜の深夜にミステリアスな雰囲気をかもしだしていました。




遠距離ラジオの音を拾うのは、海中の潜水艦の航行音をキャッチするように難しい


わたしが住んでいるのは関東の栃木。
『サタディ・バチョン』の放送局は関西のラジオ大阪。
つまりは、かなりの遠距離からやってくる電波を拾わなくてはならないわけです。
(中継地点があって、そこからの電波を受信していたのかもしれませんが)

とにかく、音を合わせるのがたいへんでした。
当時のラジオは、チューナーのダイヤルをまわして放送局の周波数に合わせます。
周波数はだいたいわかっているので、そこにダイヤルを調整します。
しかし、なかなか浜村淳の声が入ってこない。
ほかのラジオ番組が邪魔して、ラジオ大阪の電波にフィットしないのです。
まず、耳を澄まして浜村淳らしき声をキャッチしなければなりません。

まるで、海底にもぐる潜水艦をソナーでさがすように、ゆっくりと、慎重に、意識を聴覚に集中してダイヤルをまわします。
水中ではレーダー波の減衰がいちじるしくレーダーがつかえないため、ソナーで音を拾い敵を探知します。
わたしは、海中に棲息する潜水艦を逃すまいとする海軍兵士のように、ラジオから漏れる音に意識を集中しました。

耳には複数の他局ラジオ番組の音声。
トークあり、歌あり、ノイズあり。
ん?……これは?

浜村淳の声がやっと判別できました。
しかし、そこからがまた、たいへん。
この段階ではまだ、なにを言っているのか理解できません。
浜村淳がしゃべっているのは確かなのですが、そのはなしの内容までつかめない。
浜村淳の声をクリアにするため、つぎに、ラジオの場所を変えたり、ラジオの方向を変えたりします。

周波数は同じままでも、置き場所やラジオの方角により電波の受信状態が異なり、明瞭に聞き取れたり、まったく聞き取れなかったり。
土曜の深夜に、けっこう大きく重いラジカセを手にもっては部屋のなかを大移動、そのラジオの方角を変えるためにクルクル回転させるといった、めんどうくさい作業に時をついやします。

これで、なかなか良い音質になった……。
しかし、数分後には、まったく同じ周波数、置き場所、方角であるにもかかわらず、ふたたび受信状況が劣悪になることも。
そうなると、また、ダイヤル調整、部屋のなかを冒険、メリーゴーラウンドよろしくラジオを回転させる営みが。

気象条件などにもよるのでしょうが、日によって順調なときとそうでないときがあります。
順調なときは浜村節を心地よく落ち着いて堪能することができるのですが、そうでないときは2時間のうちのかなりを音合わせに忙殺されることになります。
夜が深まれば深まるほど、他局の放送が終了(かつては、いまのように深夜ぶっとおしの放送というのはそれほど多くはありませんでした)します、すると、音を拾うのもずいぶんラクになるのですが。

それでも聴きたかったのが、浜村淳の『サタディ・バチョン』でした。




土曜の深夜、多くの人々と闇に潜む者たちの頭上を越えて電波はやって来た


大阪から栃木にいるわたしまで、電波はさまざまな人生を送る多くの人々の頭上を越えてやって来ます。
その電波で、わたしは『サタディ・バチョン』を聴いていました。
どのような人たちの頭上を越えてきたのだろうか……というようなことを、中学生だったわたしは土曜の深夜に漠然と考えていたような気がします。

同時に、土曜の深夜の暗い闇のなか、息をひそめていた「なにものか」の頭上をも電波は飛び越えてきたのだろうな、とも。