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イリア・パゾム あの人はいま?『機動戦士ガンダムZZ』(&サラ・パターソン『狼の血族』)




わたしは、80年代の映画を観るのが好きです。

80年代はほぼ十代でした。
感受性の強い時期に、観たり、雑誌などでその情報に触れたため、映画を観るなり、当時の雑誌などを読むと当時の若々しい感情がよみがえってきます。
懐古趣味というやつです。


それ以外にも、80年代の映画が好きな理由はいくつもあるのですが、その一つに、出演している女優さんや俳優さんはいまどうしているのだろうと想像するのが楽しいということが挙げられます。

役者として大成できないと、ほぼ近況を知ることは不可能。
たとえば、ホラー映画に出演した女優さんだと、若さと美しさで映画に出演したものの役者としての実績はさしたるものもなく、そのあとが続かないということは良くあります。

狼の血族』(1984)に主演したサラ・パターソンは、出演時、13歳の中学生でした。

作品は、赤ずきんちゃん的なメルヘンをベースにしたホラー映画。
ヒロインは、森に囲まれた小さな村に住む女の子。
将来の夫とさだめられた少年は、知的でなく、上品でもなく、美少年でもなく、性格が良いわけでもない。
そんな少女の前に、正体不明の狩人があらわれる。
村にはいない知性的で、物腰が上品で、そのくせセクシーな狩人にヒロインは惹かれていきます。
この、わたしでは一生なれないような魅力的な狩人が実は狼男で、それに気づいてもヒロインは狩人を相手に性に目覚めていくという、フロイト的な解釈を織り交ぜた傑作でした。

ホラー映画やSF映画などでは世界でも指折りの映画祭であった(いまは亡き)アボリアッツ・ファンタスティック映画祭(フランス)では、1985年、惜しくもグランプリは『ターミネーター』にさらわれましたが、次点ともいうべき審査員特別賞を受賞しています。
世界三大ファンタスティック映画祭といわれるシッチェス・カタロニア映画祭(スペイン)、ポルト国際映画祭(ポルトガル)では、グランプリを獲得しています。

監督のニール・ジョーダン(『クライング・ゲーム』『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』etc)は、世界に雄飛する足掛かりをこの作品で得ました。
サラ・パターソンは絶世の美少女で、世界中のマニアな人たちに大注目されましたが、メジャーな女優にはなれなかったようです。
ネットで調べてみても、ほぼ情報はなし。
現在も女優なのか、そうでなければいつ女優をやめたのかもわかりません。

ほぼ、わたしと同年齢のサラ・パターソン
存命であれば、いま、40代後半。
サラ・パターソンはどんな人生を送っているのか……。
などと感慨にふけるのが堪らないわけです。
山あり谷ありであろう(と勝手に想像する)人生は、いまだ観ぬ(永遠につくられることはないが)映画を夢想するような楽しさがあります。
悩み苦しむ姿(これも勝手な想像ですが)には共感も生まれます。

いやあ、映画って本当にいいですね……。
(おまえは、水野◯朗か?)


このような想像の余地が生まれるガンダム・シリーズのキャラクターの一人に、『機動戦士ガンダムZZ』のイリア・パゾムがいます。
アニメや漫画のバトルものは、出てくるライバルキャラはたいてい戦死するか、味方になるか。
なんらかの決着をつけないではいられない。
戦いの決着は盛り上がるので、そうしないではいられない。
それは、ガンダムシリーズも富野アニメも例外ではない。

そんななか、イリア・パゾムは主人公のジュドーとまったく互角の戦いを繰り広げながら、その戦いののち、物語から姿を消します。
アムロカミーユジュドーたちと戦った主要な敵は、そのほとんどが物語のなかで戦死していることを考えると、これはけっこうめずらしい。
主人公と互角にわたりあい、引き分けた強敵であるにもかかわらず戦死が確認されておらず、行方も安否も不明なわけですから、想像の羽も広がろうというものです。

イリア・パゾム
ガンダム世界でもめずらしい天然のニュータイプ(たぶん)。
バストのまわりだけをおおうタンクトップに、深いスリットの入ったミニスカートという際どいかっこうをした美女。
愛機は、一年戦争時代のゲルググを近代化改修したMS-14J リゲルグ

一年戦争MSが好きなわたしとしては、ゲルググ改修機がZZと実力伯仲というのが嬉しい。
天然のニュータイプがあっさり描かれているのも、新鮮味があって良し(たいがい、敵のニュータイプは主人公と因縁まみれで、それがときとしてくどくなる)。
そんなこともあって、昔から気になるキャラクターでありました。


ちなみに、『ZZ』後、『逆襲のシャア』前の時代を描いた漫画『ダブルフェイク アンダー・ザ・ガンダム』で、新生ネオ・ジオンに参加したレウルーラ級の艦長としてイリアは登場していますが、アニメ作品ではないので公式とは認められていないでしょう。


イリア・パゾムは、どのような生涯を過ごしたのでしょう。
サラ・パターソンはどんな人生を送っているのでしょう。





エルピープル……エルドラド・ピープル(楽園の人)『機動戦士ガンダムZZ』



エルピープルの名前の由来は、「エルドラド・ピープル」だという説があります。
エルドラドとは、「楽園」や「黄金郷」のこと。
つまりは、「楽園の人」。

オフィシャルである『ガンダムファクトファイル』は、この説のみを紹介しています。
そこでこれが定説かと思いきや、ネットで念のために調べてみるとほかにも諸説。
・エルフ・ピープル
・エレ・ピープル
・レモンピープル(L(emon) pea ple)
・LP盤レコードプレーヤーの筐体(LP PULL[ボタン表記])

エルフは高い知性と文明をもった美しい妖精。
人間よりも神に近い高貴なイメージ。
『ロードス島戦記』のヒロインであるディードリットなどが有名。

エレ・ピープルは、すいません、なんのことだかわかりません。
(『聖戦士ダンバイン』のエレ・ハンムじゃないよな? 同じ富野作品だし。ちなみにエレ・ハンムは父が国王のミの国の王女で、のち、国王だった母方の祖父を継いでラウの国の女王になった13歳の女の子)

『レモンピープル』ですか……わたしは十代後半のころ『ホットミルク』『ペンギンクラブ』『コットンクラブ』だったからなあ……まあ、エロ漫画雑誌です。
(さりげなく、読んだことのあるエロ漫画雑誌をカミングアウト)

LPはCDの先輩格に当たる音楽プレーヤー。

ただし、ネットではほとんどが「エルドラド・ピープル」説をまず初めに紹介しています。
一応(絶対ではないものの)公式である『ガンダムファクトファイル』も「エルドラド・ピープル」説を採っています。
これが最有力説でしょうか?
(とあるサイトでは『レモンピープル』と断言していて、そのほかの説には見向きもしていないのが気になりますが。確証でもあるのでしょうか?)


このエルドラド、わたしはプルの名前のもとになったというのはありうる話だなと思いました。
その理由は、プルエルドラドに共通する光と影です。

エルドラドは、大航海時代(15世紀半ば~17世紀半ば)、主としてスペイン人がアンデスの奥地にあると夢想した黄金の楽園。
実際は16世紀ごろ、南米アンデス地方に存在したチブチャ文化を理想化しすぎたスペイン人によって産み出された「妄想の楽園」です。

チブチャ文化は、金の採掘と金細工技術に秀で、コロンビアの首都ボゴダの北57kmのところにあるグアタビータ湖地方では首長が全身に金粉をぬり儀式をおこなう風習がありました。
それだけのことです。
黄金郷からは程遠い。
しかし、この風習を耳にした貪欲な冒険者たちは、欲望のままに想像を肥大化させ、一攫千金の夢を胸にエルドラドを目指し、侵略をはじめました。

南米アンデス地方は征服者(コンキスタドール)に踏み荒らされ、現地の人たちは虐殺され、略奪され、しまいにはコンキスタドールのあいだで富の奪い合いが繰り返され、裏切りと暗殺と戦いのなか、多くの者が非命にたおれていきました。

エルドラドはもともと存在しなかったうえに、その妄念のために多くの人々が不幸になっていったのです。
楽園どころではない、それがエルドラドです。
光と影というより、影に一方的に寄った王国、それがエルドラドといっていいでしょう。


エルピープルは、自由奔放な明るい子でした。
甘えん坊で、物怖じしない。
天使のような女の子。

しかし、プルは、MSを上手に操縦するために人工的に生み出されました。
そして、妹のプルツーとの戦いで亡くなります。
戦争のために生み出され、11歳の幼さで戦争により落命する、それも妹の手によってです。


プルの光と影。
それはエルドラドの光と影にかさなります。

そしてそれは長女のエルピープル一人にとどまらず、クローンである妹たちにもまた不幸な運命が用意されていました。
プルツープルトゥエルブなど数多くの(少なくとも11人)プルの妹たちのほとんど、あるいは全員が戦いのなかで散っていくことになります。

本来は戦いの道具ではないニュータイプをたんなる戦いの道具とみなした「幻想」が、プルたちを不幸にしたのかもしれません。


プルは、そしてプルの妹たちは、「幻の楽園の人」だったのかもしれません。