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グレミー・トト……シャアの代わりにハマーンに謀叛 そしてシャアは『逆襲のシャア』へ(『機動戦士ガンダムZZ』)


グレミー・トト……ネオジオンの一兵士からネオジオンのもう一方の指導者へ

グレミーは、初登場時、たんなるネオジオンの一兵士にすぎませんでした。
マシュマー・セロの一部下。
量産機ガザCに搭乗する一般のモビルスーツパイロット。

しかし、グレミーは時流に乗ります。
物語終盤、ミネバ・ザビとハマーン・カーンを敵に回し、ネオジオンを二つに割る反乱を引き起こしました。
ミネバを戴くハマーンと並ぶ、ネオジオンのもう一方の指導者となりました。



マザコン、グレミー

グレミーはかなりのマザコンです。

「あのときのお礼をさせてもらう。ママから、けじめはちゃんとつけろと言われているんでね」(12話。ルー・ルカと再会したときの、10話でルーにだまされたことへの怨み言)

「なんだ……この胸の高鳴りは……。ママ……もしかしてこれが恋というものですか……」(12話。敵であるルーに不覚にも恋してしまったときのひとりごと)

「パパ、ママ。ようやく私もモビルスーツの実戦に出ます。ご覧になっていてください」(10話。ひとりごと)

「パパ、ママ、家の名前をもってグレミーをお守りください」(ひとりごと)

などと、ことあるごとにママを持ち出すグレミー。
(「パパ」もけっこう言っていますが)
ほかの場面でも「ママの教え」にこだわる、こだわる。

上記の「ママから、けじめはちゃんとつけろと言われているんでね」のときには、
「ママァ? おーやだ? あんたマザコンなの?」
とルーから白い目で見られています。




グレミーの美貌

グレミーは、かなりの美青年です。
その美貌はきわだっていました。
なかには『ガンダム』シリーズ屈指の美男子に挙げる人がいるくらい。
金髪で甘いマスクのグレミーは初登場時から目立つ兵士でしたが、しかし、それは軍人としての能力うんぬんかんぬんではなく、ひとえにその秀でたルックスによるものでした。

グレミーは、初期案では最後まで「一兵士」のままの予定だったという説があります。
それどころか、かなり早い段階で戦死する予定だったとも。
しかし、監督・富野由悠季のお気に入りであり、その甘いマスクゆえにかファンの人気も上々で、それゆえ重要人物にランクアップしたという説もまた。
(ちなみに、声優の柏倉つとむのファンのあいだでの評判も良く、グレミーの躍進を後押ししたという説もあります)
ただし、真偽は定かではありません。
本放送時(1986~87)のアニメ雑誌でスタッフが語っていたそんな主旨の記事を読んだ記憶があるのですが、手もとに当該雑誌はなく、出典元の雑誌名もあいまいですので、わたしの記憶違いの可能性も多分にあります。
しかし、ここではそれを前提に話を進めます。

もし、一兵士のままであったなら、もしかしたら、グレミーはその美貌を活かした恋のサヤ当て要員だったかもしれません。
ヒロインであるルー・ルカをめぐるジュドーとの三角関係で袖にされる要員。
グレミーは恋に破れ、ルーはジュドーと結ばれるという三角関係のラブコメのために生み出されたキャラクターなのかなあ、とわたしなどは思うのです。

恋のライバルは手ごわいほど恋愛は燃えます。
『めぞん一刻』の音無響子(おとなしきょうこ)を巡る五代の恋のライバルが、美男子で家柄の良い高給取りの三鷹だったように。
『ガンダムF91』(小説版)のセシリーを巡るシーブックの当初の恋のライバルが、美青年で良家の子弟であり学業成績優秀の生徒会長だったドワイト・カムリだったように(ただし、アニメのドワイトは空気になっていて恋愛にはまったく絡んでいません。無害そのものといった印象です。それに比べて小説版では、恋のライバルにうってつけの自信満々なけっこうイケスカナイ奴として描かれています)。
『ドラえもん』におけるしずかちゃんを巡るのび太の恋のライバルは、ジャイアンやスネ夫ではもちろんなく、容姿端麗で文武両道のできすぎ君でなくてはならないように。

しかし、グレミーは主人公の恋のライバルだけで終わるキャラクターではなかったのです。
宇宙世紀の歴史に名を遺す人物になりました。




シャアの代わりにハマーンに謀反、そしてシャアは『逆襲のシャア』へ

初期の企画案では、シャア・アズナブルは『ZZ』の後半に登場予定でした。
ハマーンへの反意を仮面の下に隠しながらネオジオンの将校としてハマーンのもとでジュドーたちエゥーゴやカラバと戦い、最終的にはハマーンに謀反、ハマーンを討ち果たすはずでした。
(参考文献:『機動戦士ガンダム大全集』講談社 1991)

しかし、『逆襲のシャア』の制作が決定。
シャアは最大のライバルであるアムロ・レイとの決着をつけるため、『逆襲のシャア』へと戦場を移します。

その代役として白羽の矢が立ったのがグレミー・トトでした。
グレミーはシャアと違いハマーンを討ち取る役目はあたえられませんでしたが、ハマーンを敵にまわしてネオジオンのヘゲモニー……主導権を争う一方の大将の大役をになうことになりました。




ネオジオンの37.5%(MS300、艦艇10)がグレミー支持

ハマーン軍とグレミー軍の戦力比は以下の通りです。
(参考文献:『月刊ニュータイプ 1987年1月号』)

ハマーン軍
 MS 500
 艦艇 10

グレミー軍
 MS 300
 艦艇 10

MSと艦艇の数だけでその支持率を論じるのは片手落ちの感がいなめませんが、わたしの知りえた情報はMS数と艦艇数のみでした。
また、数字が500、300、10と揃いすぎているのも、切り捨てや切り上げなどで端数を考慮にいれなかったからでありましょう。
ゆえに、実態を正確に反映した数字ではないかもしれませんが、一応の「雰囲気」といったものが分かっていただければと思います。

それにしても、およそ37.5%がグレミーの配下についたというのはどういうことなのでしょうか?
ハマーンはネオジオンのカリスマです。
実績も十分。
それだけではありません、ハマーン軍はジオン唯一の正当な後継者と目されているミネバを擁立(ようりつ)しているのです。
ミネバとハマーン、この二人を敵にまわして、なぜ、グレミー(あるいは、グレミーとプルツーたち)はそれだけの支持を得ることができたのでしょうか?




貴種であるグレミー

グレミーへの支持には様々な理由があるでしょう。
ハマーンの主義主張に反感を持っている、ハマーンのもとでは出世が望めない、ミネバを傀儡(かいらい)にしているハマーンが許せない、ハマーン陣営が敗北すると予測した、グレミー陣営は劣勢だからこそ勝利したときの見返りは大きいだろう、などなど。

それら多くの場合に当てはまる普遍的な理由のほかに、グレミーだからこその「特殊」な事情があるのかもしれません。
旧ジオン公国でもザビ家に力添えした卓越した名家のトト家当主という貴種性が、魅力ある反ハマーンの旗印として人々を引き寄せたのかもしれません。
しかし、「貴種」という点でいえば、トト家を凌駕する名家の血を受け継いでいるのではないかというひそかな噂がグレミーにはつきまとっています。
ザビ家。
グレミーはザビ家の血を引いているのではないか。
だからこそ、デギンの三男・ドズルの長女であるザビ家のミネバにも対抗できたのではないかと取りざたされています。

ただし、これに関しては意見が分かれます。
グレミーはザビ家の血を引く、引かない。
引いていたとしても、誰の血を引くのか?
などなど、さまざまな論が割拠しています。
ですので、わたし個人の価値判断は挟まず、ここではグレミーの「可能性」を列挙するだけにとどめておきます。
では……。




グレミーはザビ家なのか?

・一説によれば旧ジオン公国、デギン・ザビ公王の庶子であるとも、ギレンのクローンともいわれる(『GUNDAM EPISODE GUIDE 3』角川書店 1999)
・ザビ家の血を引くと噂され(『GUNDAM EPISODE GUIDE 3』角川書店 1999)
・グレミーは、自らがギレンの血統に連なる者であることを標榜し、アクシズを掌握した(『機動戦士ガンダムZZ データコレクション6』メディアワークス 1997)

・牙を隠したジオンの若き血族(『GUNDAM FACT FILE 12』ディアゴスティーニ 2004)
・グレミーはザビ家の血を引いていたと言われるが、その詳細については定まっていない。デギン・ソド・ザビの愛人の子という説、デギンの試験管ベビーという説、さらにはギレン・ザビの試験管ベビーだったという説。これらの説が入り混じり、彼の正確な血筋は不明となっている。だが、彼は自らの血筋を正統なザビ家に連なるものと信じ、その導きに従って行動したのである(『GUNDAM FACT FILE 12』ディアゴスティーニ 2004)
・グレミーの出自について、詳しいことはわかっていない。彼がザビ家の血を引いていたということは、一般的に信じられていることだが、実際にそれを証明できる者はいないのである(『GUNDAM FACT FILE 12』ディアゴスティーニ 2004)
・ザビ家の正統の血を受け継ぐ(と信じる)彼にとって(『GUNDAM FACT FILE 12』ディアゴスティーニ 2004)

・彼の体にはザビ家の血が流れていた(『機動戦士ガンダム大全集』講談社 1991)
・ザビ家の人間の試験管ベビーだとうわさされる青年指揮官(『機動戦士ガンダム大全集』講談社 1991)

・ザビ家の血を引く青年士官(『ACE IN THE GUNDAM』英和ブック 2015)
・ザビ家の後継者としての自覚が芽生え(『ACE IN THE GUNDAM』英和ブック 2015)

・プル、プルツー、グレミーはギレンの子(『別冊アニメディア 機動戦士ガンダムZZ PART2 完結編』学習研究社 1987)

・グレミー、プル、プルツー、NT部隊は、ギレン・ザビの精子を人工的に生殖させた(『アニメディア 1987年2月号』学習研究社)

・ザビ家の血筋を引いていると言われるものの、その正体は未だ定説を見ない(『データガンダム キャラクター列伝 宇宙世紀編II』角川書店 2010)
・グレミーはトト家の両親によって育てられたが、その出生には様々な説がある。デギンの息子説やギレンとニュータイプ女性から作られた人工授精での子供説、その他にもサスロのクローン説やザビ家の血族から作られた試験管ベビー説などがあり、ハマーンはミネバが亡くなった場合の代用品として守り立てたようだ(『データガンダム キャラクター列伝 宇宙世紀編II』角川書店 2010)
・その正体を伏せられたグレミーは、当初アクシズの兵士からはハマーンのお気に入りの少年兵程度に思われていた(『データガンダム キャラクター列伝 宇宙世紀編II』角川書店 2010)
・その血筋からアクシズのナンバー3と目され(『データガンダム キャラクター列伝 宇宙世紀編II』角川書店 2010)
・そんな彼に、バイオテック研究スタッフのマガニーが接触してきた。彼はザビ家信奉者たちの差し金でグレミーに近づき、彼に出生の秘密を語り、独自の戦力を授けるためニュータイプ部隊のプルシリーズを預けたようだ(『データガンダム キャラクター列伝 宇宙世紀編II』角川書店 2010)
・グレミーが正統なるザビ家の末裔と知ると多くのネオ・ジオンの兵士がハマーンから離反して彼の下に集ったようだ(『データガンダム キャラクター列伝 宇宙世紀編II』角川書店 2010)

・ザビ家の血、そして野望の果て(『ガンダム人物列伝』PHP文庫 2008)
・真のザビ家再建は、血によって選ばれし者の手で行わなくてはならない(『ガンダム人物列伝』PHP文庫 2008)
・グレミーは自分の出生の秘密を知ってから、この日がくるのを待ちわびていた(『ガンダム人物列伝』PHP文庫 2008)

・我々を結びつける血のつながり、忘れるな【ハマーン】(『ガンダムの常識 Z&ZZ編』双葉社 2009)
・ジオンの血の王国を、私の手で再建する【グレミー】(『ガンダムの常識 Z&ZZ編』双葉社 2009)
・グレミーはジオンを復活させようとしている。グレミーは血の力だけで宇宙を治めようとしている【ハマーン】(『ガンダムの常識 Z&ZZ編』双葉社 2009)
・旧ザビ家との関係については諸説ある(ギレン・ザビのクローン、ザビ家の血を引く試験管ベイビーともいわれている)が、ハマーンが命を落とした今、真実を知るものはいない(『ガンダムの常識 Z&ZZ編』双葉社 2009)



エルピープル……エルドラド・ピープル(楽園の人)が名前の由来?『機動戦士ガンダムZZ』



エルピープルの名前の由来


エルピープルの名前の由来は、「エルドラド・ピープル」だという説があります。
エルドラドとは、「楽園」や「黄金郷」のこと。
つまりは、「楽園の人」。

オフィシャルである『ガンダムファクトファイル No.4』(ディアゴスティーニ、2004)は、この説のみを紹介しています。
そこでこれが定説かと思いきや、ネットで念のために調べてみるとほかにも諸説。
・エルフ・ピープル(PEAPLE)
・エレ・ピープル(PEAPLE)
・レモンピープル(L(emon) pea ple)
・LP盤レコードプレーヤーの筐体(LP PULL[ボタン表記])
・エル・フィノの一族(PEAPLE)
・エルの一族(PEAPLE)

エルフは高い知性と文明をもった美しい妖精。
人間よりも神に近い高貴なイメージ。
ロードス島戦記』のヒロインであるディードリットなどが有名。
プルにはかわいらしい妖精のイメージがあり、かつ、道を踏み外そうとしている妹のプルツーを生命を賭して止めようとしたプルの最期はじつに気高く、エルフ族に通底するなにものかがプルにはあるように思えます。

エレ・ピープルは、すみません、なんのことだかわかりません。
聖戦士ダンバイン』のエレ・ハンムのことではないと思いますが……。
ちなみに『聖戦士ダンバイン』は『ZZ』と 同じ富野作品。
エレ・ハンムは父ピネガンが国王だったミの国の王女で、のち、国王だった母方の祖父フォイゾン・ゴウを継いでラウの国の女王になったひたむきで内気な13歳の女の子。
プルの卓越したニュータイプ能力は、エレが持っていた巫女的な強大な霊力を連想させます。

『レモンピープル』ですか……わたしは十代後半のころ『ホットミルク』『ペンギンクラブ』『コットンクラブ』だったからなあ……まあ、エロ漫画雑誌です。
(さりげなく、読んだことのあるエロ漫画雑誌をカミングアウト)

LP盤レコードプレーヤーはCDの先輩に当たる音楽プレーヤー。
富野由悠季が命名に悩んでいたとき偶然目にした、LP盤レコードプレーヤーのボタン表記(LP PULL)から着想を得たとのこと。

エル・フィノは『聖戦士ダンバイン』に出てくるミ・フェラリオ(妖精)。
お転婆(てんば)で自由奔放なところなどがプルと良く似ています。
エル・フィノの一族ということから、エルの一族(エル PEA PLE)。

エルの一族とは、富野由悠季が読んでいたファンタジー小説に出てくるかわいい妖精の一族。
これを気に入った富野由悠季がそのまま名前にしたとのこと、つまり、エルの一族(エル PEA PLE)。

ただし、ネットではほとんどが「エルドラド・ピープル」説をまず初めに紹介しています。
一応(絶対ではないものの)公式である『ガンダムファクトファイル No.4』も「エルドラド・ピープル」説を採っています。
これが、いまのところ最有力説でしょうか?
(あるサイトでは、確証でもあるのでしょうか『レモンピープル』と断言していて、そのほかの説には見向きもしていません)
(ファンタジー小説に出てくる「エルの一族」からの富野命名説は、本放送終了間もないころに出版された『別冊アニメディア 機動戦士ガンダムZZ PART2 完結編』(1987)が出典元とのこと【現物不所持のため未確認】)




プルたちの光と影


このエルドラド、わたしはプルの名前のもとになったというのはありうる話だなと思いました。
その理由は、プルとエルドラドに共通する光と影です。

エルドラドは、大航海時代(15世紀半ば~17世紀半ば)、主としてスペイン人がアンデスの奥地にあると夢想した黄金の楽園。
実際は16世紀ごろ、南米アンデス地方に存在したチブチャ文化を理想化しすぎたスペイン人によって産み出された「妄想の楽園」です。

チブチャ文化は、金の採掘と金細工技術に秀で、コロンビアの首都ボゴダの北57kmのところにあるグアタビータ湖地方では首長が全身に金粉をぬり儀式をおこなう風習がありました。
それだけのことです。
黄金郷からは程遠い。
しかし、この風習を耳にした貪欲な冒険者たちは、欲望のままに想像を肥大化させ、一攫千金の夢を胸にエルドラドを目指し、侵略をはじめました。

南米アンデス地方は征服者(コンキスタドール)に踏み荒らされ、現地の人たちは虐殺され、略奪され、しまいにはコンキスタドールのあいだで富の奪い合いが繰り返され、裏切りと暗殺と戦いのなか、多くの者が非命にたおれていきました。

エルドラドはもともと存在しなかったうえに、その妄念のために多くの人々が不幸になっていったのです。
楽園どころではない、それがエルドラドです。
光と影というより、影に一方的に寄った王国、それがエルドラドといっていいでしょう。



エルピープルは、自由奔放な明るい子でした。
甘えん坊で、物怖じしない。
天使のような女の子。

しかし、プルは、MSを上手に操縦するために人工的に生み出されました。
そして、妹のプルツーとの戦いで亡くなります。
戦争のために生み出され、11歳の幼さで戦争により落命する、それも妹の手によってです。



プルの光と影。
それはエルドラドの光と影にかさなります。

そしてそれは長女のエルピープル一人にとどまらず、クローンである妹たちにもまた不幸な運命が用意されていました。
プルツーやプルトゥエルブなど数多くの(少なくとも11人)プルの妹たちのほとんど、あるいは全員が戦いのなかで散っていくことになります。

本来は戦いの道具ではないニュータイプをたんなる戦いの道具とみなした「幻想」が、プルたちを不幸にしたのかもしれません。



プルは、そしてプルの妹たちは、「幻の楽園の人」だったのかもしれません。