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『ADVANCE OF Z ティターンズの旗のもとに』 マーフィー小隊……ウサギを部隊章にしたティターンズ


ウサぴょん、とばっちり!

ウサギは「羽(わ)」で数えます。
鳥のように。
1羽、2羽、3羽、4羽、5羽……というように。

しかし、なぜ、ウサギは猫や犬のように「匹」ではないのでしょう?
その由来にはいくつかの説がありますが、仏教関連にこのような説があります。

日本の仏教では肉食が禁止されています。
肉を食べると穢(けが)れるというのがその理由です。
修行の身である僧侶の肉食は言語道断。
……とされていますが、それがどこまで守られていたのかは不明。
ただ、魚や鳥は食すことが許されていました。

しかし、食糧がとぼしいときには空腹の苦痛には抗えず……。
ウサギはぴょんぴょん跳び回ります。
鳥のように、ぴょんぴょん。
そこで、ウサギは鳥=みなし鳥ということで捕獲されてひそかに食されました。

みなし鳥ってなんなのさ!

あのウサギの可愛さの最たる理由の一つ、「ぴょんぴょん」が食される言い訳に利用されてしまったのです!

でもって、鳥とみなす=みなし鳥ということで、ウサギは鳥と同じ「羽」で数えるようになったのです。
(ただし、あくまでいくつかある説のうちの一つです)

「ぴょんぴょん跳んでるから、これって鳥じゃね?」
肉を食べたいばかりに(その気持ちはわかりますが)、「鳥」と思い込みたかった人間たちのエゴにより、ウサギはそのチャームポイントゆえ受難の時代を経験しました。




マーフィー小隊(ブラックオター)……ウサギの部隊章を持つティターンズの実戦テスト部隊

しかし、いまや、ウサギはペットとして、家族として、可愛がられる動物の代表の一つにまでなりました。
ウサギを愛する人間……その一人が、ウェス・マーフィー。

『ADVANCE OF Z ティターンズの旗のもとに』の主人公エリアルド・ハンターが所属するのはT-3部隊。
T-3とは、TITANZ TEST TEAM/ティターンズ・テスト・チームの頭文字である三つのTのこと。
ティターンズの新型兵器テスト部隊がT-3部隊です。

★T-3部隊運用MS/MAの一例
RX-121 ヘイズル(ガンダムタイプ・ヘッドのジム・クゥエル改修機)
RGM-79CR ジム改高機動型(ジム改を強化したジムII採用試験機)
RGM-79SR ジム・スナイパーIII(ジム改高機動型の狙撃仕様カスタマイズ機)
YRMS-106 ハイザック先行量産型
NRX-004(R) キハール(アッシマー試作機の改修機)
ORX-005 フライルー(ギャプラン改修機)
RX-107 ダンディライアン(バウンド・ドックのベース機?)
RX-124 ウーンドウォート(ガンダムの新型試作機)

このT-3部隊の中心として、数々の最新鋭試作MS/MA等のテスト、場合によっては実戦テストを担当するのがマーフィー小隊。
その小隊長がウェス・マーフィー大尉。

マーフィー小隊所属MS/MAには、もれなくウサギの部隊章が描かれています。
戦場には似つかわしくない、癒やされなごむ愛らしいウサギたちが。
そのため、マーフィー小隊の通称は「ブラックオター」。
ブラックオターとは黒ウサギのこと、背面が黒で腹面が白い毛をしたウサギのことです。

このウサギの部隊章を発案した人物こそ、ウサギをこよなく愛する、腕利きのパイロットで、人徳があり、褐色の肌の大男で顔がちょっと怖いウェス・マーフィー。
いかつい顔に似合わぬ可愛いウサぴょん好きという見た目とのギャップが、けっこう良い味出しています。




ADVANCE OF Z ティターンズの旗のもとに

『ADVANCE OF Z ティターンズの旗のもとに』は、デラーズ紛争終了直後からグリプス戦役終戦までのU.C.0084-0088を舞台にしています。
『0083』の直後から『Z』最終回に当たる時代。

主人公サイドはティターンズ。
エゥーゴが主人公サイドだった『Z』とは逆陣営の物語です。

『ティターンズの旗のもとに』(2002~2007)は『電撃ホビーマガジン』で連載された小説と模型によるフォトストーリー作品です。
これを原作にした漫画作品も存在します。

主な登場人物は、マーフィー小隊の面々。

エリアルド・ハンターは主人公。
ほぼアースノイドで構成されるティターンズのメンバーには珍しいスペースノイド。
堅物と言われかねないほどにまじめで、正義感が強く、闘志を内に秘める青年。
物語開始時は新米パイロットでしたが、度重なる激戦を生き抜いてMSパイロットとして成長していきます。
中尉。
24歳(U.C.0084当時)。

カール・マツバラはエリアルドの戦友。
白人主体のティターンズには珍しい日系ハーフ。
明るく陽気、ちょっと皮肉屋のところがあるが根は素直な青年。
こちらも物語開始時は新米パイロットで、パイロットとしては最終的にはエリアルドにけっこう水をあけられた感じ。
中尉。
24歳(U.C.0084当時)。

オードリー・エイプリルはマーフィー小隊の紅一点。
前向きな性格で美人だが、けっこうきついところあり。
動物嫌いで、マーフィーのウサギ好きに悩まされました。
メカマニア。
不思議なくらいに小隊メンバーとの恋愛話なし。
(エリアルドと結ばれるのではないかと第1話の時点で予想していましたが、結局、艶っぽい話はいっさいなし。
エリアルドにも、カールにも、マーフィーにも恋愛話はなく、珍しいくらいに恋愛要素の少ない作品でした)
予備パイロット的な位置づけで、オペレーターを担当したり、必要に応じてMSやフルドドなどの支援機に搭乗しました。
中尉。
25歳(U.C.0084当時)。

ウェス・マーフィーはマーフィー小隊の隊長。
武骨。
人格者。
部下の面倒見良し。
凄腕のパイロット。
いかつい顔。
大のウサギ好き。
かつて、エイパー・シナプス大佐(『0083』)直属の部下で、デラーズ紛争において慕っているシナプスが命令違反のかどで(という名目で責任を転嫁されて)処刑されたことに強い不満を抱いている。
大尉。
30歳(U.C.0084当時)。




この空域にシャア・アズナブルがいるらしい……一戦交えてみたかったな……

ウサギ好きウェス・マーフィーにとって、シャア・アズナブルは一度は戦ってみたい相手だったようです。

U.C.0088年2月のエゥーゴ、ティターンズ、アクシズのコロニーレーザー「グリプス2」周辺での三つ巴の最終決戦の序盤。
マーフィーとエリアルドは、ギャプランの改修機であるTR-5 フライルーに搭乗して戦場を駆け巡っていました。

マーフィーの標的はシャア・アズナブル。
一年戦争の伝説的なMSパイロット「赤い彗星」のシャア。
クワトロを名乗っていたシャアは、「ダカール演説」によって自らがシャアであることを明かし、ジオン・ズム・ダイクンの息子であることを明かしました。
それにより、エゥーゴの実質的指導者であり、かつエゥーゴのシンボル的存在になりました。

そのシャアを、マーフィーは戦場を馳駆(ちく)して探します。

「この空域にシャア・アズナブルがいるらしい。おまえ、金色のモビルスーツを見なかったか?」

エリアルドにそう訊ねるマーフィー。
しかし、エリアルドに心当たりはありませんでした。
結局、戦場でシャアと遭遇することはありませんでした。

「一戦交えてみたかったな……」
マーフィーは、そう呟いたといいます。

(以上、セリフは『ADVANCE OF Z~ティターンズの旗のもとに~ Vol.1』メディアワークスを抜粋しました)

ここに、マーフィーのMS乗りの性(さが)があらわれていて、わたしはマーフィー関連ではここが一番好きな場面です。
「赤い彗星」という強い敵と手合わせしたい、そんな素朴な戦士としての願望に、わたしはマーフィーの好ましい純粋さを見るのです。



FAZZ(ファッツ)『ガンダム・センチネル』……悲運の高性能MS【張り子の虎/ハリボテ】、検証機から実戦へ



FAZZ

FAZZ。
Full-Armor-ZZ の略。
発音は「ファッツ」。

パイロットは、
04号機(FAZZ 04)、シン・クリプト(中尉)。
05号機(FAZZ 05)、ジョン・グリソム(少尉)。
06号機(FAZZ 06)、ロバート・オルドリン(少尉)。

フルアーマーZZガンダムの試験機。
頭頂高 :19.86m
全高  :22.11m
本体重量:45.4t
全備重量:94.6t
装甲材質:ガンダリウム・コンポジット
武装  :ハイパー・メガ・キャノン(主力兵装。全長はFAZZの全高を超える。ZZの頭部ハイメガキャノンの出力6割増し)
     ダブル・ビーム・ライフル(副砲。右前腕部にコネクター接続。主兵装だったZZのものより出力を抑えたバージョン)
     60mmダブル・バルカン(頭部左右に1基ずつ、1基の上下に砲口2門あるも、上部砲口はダミーのため左右の下部砲口2門のみ発砲可)
     AMA-09S 腕部ミサイルポッド(左前腕部装備)
     AMA-13S ミサイル・ポッド(バックパック左部装備)
     スプレー・ミサイル・ランチャー(左肩部正面装備)
     背部ビーム・カノン(ZZのようなビーム・サーベルの機能はなし)
     頭部ハイ・メガ・キャノン(機体バランスを検証するためのダミーで発射不可)
     腹部ハイ・メガ・キャノン(装備予定であったとも言われるが、試作機であるためダミーで発射不可)

FAZZは、模型雑誌『モデルグラフィック』企画の小説『ガンダム・センチネル』(1987~1990)に登場したMSです。
『ガンダム・センチネル』は「ペズンの反乱」を題材としています。
「ペズンの反乱」は、グリプス戦役末期の宇宙世紀0088年1月25日から4月5日にかけて、小惑星ペズンに駐留する連邦内エリート部隊である地球連邦軍教導団(ティターンズという説もあり)の地球至上主義の青年将校たちがニューディサイズを名乗り、ダカール宣言以後、エゥーゴ寄りになった地球連邦に反旗を翻した事件です。
『Z』の終盤から『ZZ』の序盤に相当する時期のことです。

FAZZは、このニューディサイズを追討するために組織されたα任務部隊に、Sガンダム(スペリオルガンダム)やZプラスC1(ゼータプラスC1)、ネロ、ネロトレーナー、EWACネロ(イーワックネロ)などとともに配備されたMS。

同時代のMSとしては度外れた火力を有し、しかし、そのため機動性に難のある機体。
その絶大な火力が無力化されたとき、弱点の機動性の低さゆえに悲劇を味わうことになるMSです。

FAZZは、いかなる悲運を経験するのでしょうか?




FAZZ 検証機・試験機であるのに実戦参加は無茶だった?

FAZZは、ZZのフルアーマー状態の機体バランスを検証するための試験機でした。
ですから、使えもしない頭部ハイ・メガ・キヤノンも、バランス検証のためにダミーとして備え付けられています。
しかし、ニューディサイズが蜂起したことにより、運用試験に回される予定だったFAZZはいきなり実戦に投入されました。

試合に出る予定ではなかったスポーツ選手が心の準備とフィジカルの調整に支障を来たしやすいように、FAZZにもなんらかの支障はなかったのでしょうか。
おそらく、実戦に必要でないものが余分についていて、実戦に必要なものがついていないというような差しさわりがあったのではないでしょうか。
たとえば、発射不能な頭部ハイ・メガ・キャノンがデッドウェイトになっていたり、将来的には発射可能になったかもしれませんが現時点では発射不可能な腹部ハイ・メガ・キャノンがこれまたデッドウェイトになっていたりします。
フルアーマーZZには施されていたビームコーティングがFAZZには施されていませんが、これは最初からコーティングする予定がなかったのか、急ぎ戦場に送り出すため泣く泣く省略したのか、いずれなのでしょう?

そもそもバランス調整のための検証機なので、検証の途中(それとも直前?)で実戦参加するハメになったFAZZは、実戦向きでない不安定なバランスの機体であった可能性が高いのではないでしょうか。




相手が悪すぎ【ブレイブ・コッド/ガンダムMk-V】

FAZZの火力には、すさまじいものがあります。
火力と射程については同時代のMSを凌駕しており、とくにハイパー・メガ・キャノンは当時の単独携行兵装のなかでは化け物じみた最高水準の出力(79.8MW)を誇っています。
このたぐいまれな火力と厚い装甲を活かした遠距離支援砲撃MSとして、実戦評価試験もかねて戦場に投入されました。

ただし、3機で1個小隊のFAZZ隊を構成していました。
これには疑問が残ります。
FAZZ隊のみで単独行動していた場合、その欠点である動きの鈍さにより高機動MSの敵の速さについていけないかもしれません。
ガンタンク(『ガンダム』『第08MS小隊』)やガンキヤノン(『ガンダム』『ポケットの中の戦争』)、ジムキャノンII(『0083』)のように、高機動MSの支援機として絶えず行動をともにする必要があったのではないでしょうか。

結局、FAZZ小隊は、単独行動中、高機動MSによって全滅させられます。

1機の敵によって。
しかし、そのMSとそれを駆るパイロットは当時一流、あるいは超一流のMSとMSパイロットでした。

MSは、ガンダムMk-V。
パイロットは、ブレイブ・コッド。

ニューディサイズ最強のパイロットとMSでした。
天性のカリスマ性にも恵まれたニューディサイズの指導者でもあります。

FAZZ小隊と戦闘に入ったブレイブ・コッドは、アウト・レンジからのハイパー・メガ・キャノン一斉射撃にたいし強襲をかけ急接近します。
3機のFAZZが乱れ撃ちした近接ミサイルの弾幕斉射も、ブレイブ・コッドは急制動をかけ、歯を食いしばり、奥歯が砕け、口のなかを血まみれにしながらも尋常でない高いGを耐え抜いて回避しました。
そこから、FAZZ小隊は不得手な接近戦に一瞬のうちに持ちこまれ、全機撃破されてしまいました。

04号機のシン・クリプトは機体から脱出して生還。
05号機のジョン・グリソム、06号機のロバート・オルドリンは戦死。

ガンダムMk-Vの損害は、インコムが使用不能になったことのみ。
敵が当時最強クラスのMSとはいえ、3機まとめて1機のガンダムMk-Vに完敗を喫したのです。

急ごしらえで戦場投入、動きの鈍重なMSのみで小隊を組み、相手が当代一流のパイロットとMSであった……これらいくつもの不運が重なったからでしょうか、高コストであり、たぐいまれな高火力ゆえに支援用MSとしてはたいへん優秀であったFAZZの小隊はもろくも潰(つい)えさったのです。




FAZZ……GFF、ジョン・グリソム、ハイパー・メガ・キャノン

模型をつくらない(つくっても萎えるくらいにヘタ)なわたしは、2000年代の一時期、完成品のGFF(GUNDAM FIX FIGURATION/ガンダム・フィックス・フィギュレーション)と、そのジオン版であるZEONOGRAPHY(ジオノグラフィー)を買い集めていました。
わたしの買い求めた10いくつかの機体のなかで、マイナーMSもいいところのFAZZはかなりのお気に入りMSでした。

なにしろ、重量感があります。
パーツが多いうえに、重装甲特有のゴツゴツしていて全身筋肉のかたまりといったようなマッシブな体形をしています。
堂々たる風采なのです。

それに、ハイパー・メガ・キャノンの巨大なことといったら。
サービスなのか、設定画よりもさらにFAZZ本体と比較して巨大な印象があります。
FAZZの全高を優に超しています。
そのボリュームのある巨大兵器には、『宇宙戦艦ヤマト』のヤマトの波動砲のような「見える巨大兵器」の魅力とロマンがおういつとしています。
フロイト心理学流にいえば、それはおのれのペニスを補うための「武器」になるのさ、ということになるのかもしれませんが、あまりフロイト心理学を信じていないわたしとしては、その魅力やロマンがどこから来るのかいまひとつわかりませんが、やはり、巨大兵器の迫力には抗いがたく魅了されるのです。

ちなみに、わたしの持っているFAZZは、ジョン・グリソムの05号機(FAZZ 05)です。
主人公のリョウ・ルーツ(Sガンダムのパイロット)とケンカしたりFAZZ隊の小隊長だったりで『ガンダム・センチネル』の主要人物の一人である04号機のシン・クリプトに対して、06号機のロバート・オルドリンとともにジョン・グリソムはセリフの一つもあったのかどうかわからないような端役(はやく)です。

つまり、人気がないから売れ残っていたのかもしれないジョン・グリソム機かもしれませんが、わたしはこの05号機が気に入っています。
04号機のシン・クリプトは戦死していません。
ジョン・グリソムとロバート・オルドリンは戦死しました。
05号機と06号機には生命を散らしたパイロットが乗っていたのです。
一人の人間の棺桶になった……一人の人間の最後の居場所だった……それだけでも、わたしは05号機と06号機は04号機よりも貴い存在に思えるのです。