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グリーン・ワイアット……良い友人にはなれなそうだが、やられ役としては名優『機動戦士ガンダム0083』



ワイアット大将


グリーン・ワイアット(U.C.0083)
・連邦軍大将
・連邦軍の主導者の一人
・派閥の領袖(ワイアット派)[ただし、コリニー派に属しているという説もある]
・貴族的な顔立ち
・気取り屋
・イギリス出身?
・スペースノイドへの差別意識あり
・ジオン残党の核攻撃により死去




紳士……


「レディーは贈り物が好きだと相場は決まっている」
「勝利の味とダージリンの香り、これぞ紳士の特権だな」
「紳士は、時間に正確でなくてはな」

はあ、そうですか……。
はあ、でしょうね……。
としかリアクションが取れない、スカした……すばらしいセリフの数々。
(御大・田中秀幸さんの美声が、また、スカ……素晴らしい)

数少ないセリフがこの調子ですから、普段からこんな感じなのでしょう。




「盛りおって、サルどもが!」


しかし、いざ、自分に内通したシーマとの秘密の会合を、なにも知らない他派閥(コーウェン派)のアルビオンMS隊にぶち壊されると、

「盛りおって、サルどもが!」

と激昂。
他派閥とはいえ本来は味方のはずのアルビオン隊を、盛っているサル呼ばわり。

本性……?




紳士のたしなみ


しかし、グリーン・ワイアットもなかなかのもので、激怒したあとすぐさま平静さを取り戻し、シーマ艦隊と遭遇戦をしているような体裁をつくろう命令を即座に出しています。
シーマ艦隊のムサイ級軽巡洋艦後期型「ニーベルング」を砲撃で撃沈させています。
シーマとの内密の接触を気取られないための、アルビオン隊へのアリバイづくりです。
しかし、シーマの乗艦するザンジバルII級機動巡洋艦「リリー・マルレーン」は逃がします。
シーマは自分の手駒なのです。
連邦軍内派閥争いの手駒(一説には、コリニー派・ワイアット派・コーウェン派の三すくみの争いという)。
ジオン残党の内部にいて、その事情に通暁している情報源。
生かしておいたほうが、自分にとってはなにかと有益なのです。
そんな計算がとっさにできるくらいには有能なのかもしれません。

なるほど、ワイアットはまったくのエセ紳士ではないのかもしれません。
怒りに我を忘れないのは、紳士のたしなみの一つなのですから。




紅茶……高貴なる飲物


グリーン・ワイアットはセリフからも、紅茶に対するなみなみならぬこだわりがあるようです。

イギリスでは、1660年代、貴族のあいだで喫茶が大流行しました。
イギリスの貴族は平民と差別化をはかるためにも(もちろん、それだけではないですが)、ティーを愛飲しました。
中国(のちインド)から輸入するため運搬などに多額のコストがかかり、そのためお茶(はじめ緑茶、のち紅茶)はいやがおうにも高価になり、平民には手が出ない。
そのことが、平民と格差をつけたい貴族にとっては好都合だったのです。
高級品だった砂糖もたっぷり入れるので、ますます高価に。
当時のお茶は珍重品だったのです。

(ちなみに、中国からヨーロッパへの長旅の運搬中に緑茶が偶然に発酵して紅茶が誕生したという説があります。
この説は、偶然が紅茶を生み出したというおもしろさからもてはやされていますが、事実ではないようです。
紅茶は中国で明代につくられたといわれています)




自信過剰のワイアット


紳士であることと、貴族の飲み物であった紅茶を、まるで自分のアイデンティティーであるかのように前面に押し出しているところを見るとワイアットは相当に差別意識が強いのかもしれません。
友軍でも、おのれの邪魔をすれば、サル呼ばわりですからね。

サル呼ばわりには、自分が凡百どもとはちがう高級な人間であることへの自負と高慢とが顔をのぞかせています。
おのれの才覚や魅力に、かなりの自信をお持ちのよう。
紳士の仮面の下には、他人への侮蔑が満ち満ちている感じ。

そのグリーン・ワイアットが、陰謀にはめられて核攻撃で散っていくわけです。
自分でおもっているほどには有能でなかったということでしょうか。
それとも、神ならぬ人間の身では、どんなに優秀な人間でも罠にはめられるのはいたしかたないといったところでしょうか。




やられ役としては名優


勘違いしまくりのワイアット。
実際に身近にいたらかなり鬱陶しいかもしれませんが、遠くから見ているぶんには、その勘違いっぷりはわたしにはとてつもなくおもしろく思えます。

おれは優秀な選ばれたエリートなのだ!→だまされた! やられた!

の流れは、「いるよねそういう人」という納得と、「あまり同情できない」人間が被害にあったことからくる心のもやもやの少なさから、観ていておもしろい。
善良な人が陰謀の犠牲になる後味の悪さとは対極にあるのです。

また、ワイアットはルックスも良く、それなりに優秀そうなのも、被害者にはうってつけかもしれません。

ホラー映画もそうです。
若く美しい男女が被害にあうなら、それなりに絵になる。
同情するくらいに容貌にも才能にも、あらゆるものに恵まれない人が被害者になるとやりきれなさを感じるものですが、容姿・才気などに長じている者には、「まあ、しょうがないよね」とそれなりにいい思いをしているだろうからと納得もある程度いくものです。

ワイアットはその点では非常に優秀です。
貴族的な風貌、少なくともそれなりの才幹、きわめて高い社会的地位(声優の田中秀幸さんの美声と堂々たる演技はもちろん)……そして外せないのが、気取り屋のちょっとイヤな御仁ということ。

陰謀にはめられ抹殺される役者として、グリーン・ワイアットはじつの絵になる男子なのです。





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