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サラ・パターソン『狼の血族』(1984)……花の色は移りにけりな



人生の浮き沈み


自分の人生を思い起こしても、人生の浮き沈みは目まぐるしく攻守所を変えるのが常のような気がします。
いじめなどで最悪だった中学3年のとき、その一年以内におとずれる、生徒会副会長やクラス委員長をつとめることになる高校1年の充実した学校生活は予想できませんでした。
しかし、その高校1年の2~3年以内に、記憶の障害が起きて何十年とつづく苦しく長い闘病生活が自分を待っているなどということも予期してはいませんでした。
しかし、その闘病中にも、大学合格の夢はかなえることができました。
良きことも悪しきことも、突然それはやって来て、しかし、いつまでも幸福ではないものの、いつまでも不幸というわけでもないのが人生なのだというのがいまの実感です。




サラ・パターソン


この人生の浮沈ということについて、今年(2019)のGWに、あらためて実感させられることがありました。

いつもは時間的にやれないことをGWにやろうということで、山登り(舗装された道ですが)などとともに、消息のわからない気になる女優さんを本格的にネットで調べてみることにしました。
幾人かいます。
そのなかでも、もっとも消息を知りたかったのが「サラ・パターソン」でした。

ご存じの方は、そう多くないでしょう。
ほぼ、「狼の血族」(1984)が唯一のメジャーな映画出演ですから。
それも、ホラー映画ファンしかほぼ知らない限定されたメジャー作品です。




狼の血族


「狼の血族」は、ホラー映画などの映画祭ではグランプリを取ったり(シッチェス・カタロニア映画祭(スペイン)、ポルト国際映画祭(ポルトガル))、『ターミネーター』(1984)にグランプリはさらわれたものの次席である審査員特別賞を受賞したり(アヴォリアッツ・ファンタスティック映画祭(フランス))と、ファンのあいだでは高く評価されたホラー映画でした。

手短にいえば、『赤ずきんちゃん』のような童話めいた中世世界における、けっこう陰惨な狼男もの。
ロザリーン(サラ・パターソン)は、森に囲まれた村に住む13歳?の少女。
ロザリーンは、森で一人の猟師に出会います。
村にはいないような知性的で上品でかつセクシーな美男子の猟師に、ロザリーンは惹かれていきます。
左右の眉毛がくっついているという狼男の特徴をもつその男に疑いをもちつつ、それでも、ロザリーンは自分の衝動をどうすることもできずに性に目覚めていきます。

というフロイト的な少女の性の目覚めをテーマにしたホラー映画。
このロザリーンを13歳(か15歳)のサラ・パターソンが演じました。

内容がセクシャルなだけに、ロザリーンにはそれにふさわしい美しい少女が抜擢されました。
サラ・パターソンは、当時、その美しさが世界中のホラー映画ファンや映画関係者から注目されました。




サラ・パターソンとジェニファー・コネリー


美少女はだれかと問われれば、ジェニファー・コネリー(1970生まれ)とサラ・パターソン(1972(もしくは1970)年生まれ)の二人をわたしはまず挙げます。
わたしと同年代で印象深いということもあるでしょうが、二人の『フェノミナ』(ジェニファー・コネリー主演)『狼の血族』における美しさは、世界トップクラスの美しい少女とはどういうものかの、わたしのなかでの典型でありつづけています。

ジェニファー・コネリーは、デビューのときから「十年に一人の美少女」などと騒がれていました。
日本でも、80年代後半の『スクリーン』や『ロードショー』の読者投票で女優No.1になるなど、若い人のあいだで絶大な人気を博していました。
20代で、正直、女優さんとして失速した感はいなめませんが(それまでが世界的なスーパーアイドルだっただけに)、それでも2001年度作品の『ビューティフル・マインド』では世界の助演女優賞(アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞、放送映画批評家協会賞)を獲得しています。

かたや、サラ・パターソンは、日本ではほぼ『狼の血族』のみがそれなりに知られているにすぎません。
ネットでも、日本語ではほぼ『狼の血族』だけしか探り当てることができませんでした。
サラ・パターソンのほかの作品、いまでも女優なのか、そうではないとしたらいつ女優でなくなったのかなど、いっさいわかりません。
この時点で、サラ・パターソンが女優として大成しなかったであろうことはほぼ明らかでした。

あれだけの美少女、そして美女になったであろう(と思い込んでいた)サラ・パターソンでも、女優として成功するのは難しいのかと嘆息するおもいでした。




サラ・パターソン……


しかし、それはわたしの思い込みでしかありませんでした。

GWに、外国語のサイトにまで手を伸ばしてみました。
日本語翻訳機能を使ってです。
すると、サラ・パターソンが5本の映画に出演しているらしいことがわかりました。

1984年『狼の血族』でデビュー。
1987年、白雪姫もので主演の白雪姫。
このあと14年間の空白。
そして、2002、2006、2007年に、おそらくは端役で一作品ずつ映画出演。
とこんな感じでした。
日本で公開されたのは『狼の血族』だけのようでもあります。



そして、写真を見て、失礼ながら驚愕しました。
1987年(16歳(か18歳))の時点で、『狼の血族』の世界的な絶世の美少女ともいうべき美しさがちょっと褪せているようにおもえました。
でも、じゅうぶん美少女ではありました。

しかし、2002年(30歳(か32歳))の写真を目にしたとき、わたしは茫然としました。
「別人?」
そうおもわざるをえませんでした。
たしかに面影はあります。
しかし、同一人物とはおもえないくらいに、その美貌は褪せていました。
30歳(32歳)にしては、やつれているのです。
年齢よりもお年を召しているようにも見えます。
少女のころの華やぎが感じられない。
正直、これがサラ・パターソンであることを前もって知らなければ、一生、気づくことはなかったでしょう。

ジェニファー・コネリーも、世界トップの美少女の一人と称賛されていたころにくらべると、ある時期をすぎたあとは、同年代の女優さんのなかでもトップクラスとは言いづらくなったとはおもいます。
それでも、美女であることはたしかだとおもいます。

しかし、サラ・パターソンは、まことに失礼ながら美人女優とは呼ばれないでしょう。
かつての世界的な絶世の美少女は、少なくとも30歳のときには、そうではなくなっていました。

13歳(15歳)のころなら、同年代の女優さんたちの写真をずらりと並べて「どれがサラ・パターソン?」と問われれば、「綺麗な女の子を順に選んでいけば、すぐにサラ・パターソンに行き着くよ」と答えたでしょう。
しかし、30歳以降だと、それは通用しません。
同年代の女優さんたちのなかに、サラ・パターソンの写真は埋没してしまうでしょう。




若き日のサラ・パターソンは、映画『狼の血族』のなかに


ショックではありました。
サラ・パターソンは、わたしにとって美少女を代表する二人のうちの一人なのです。

ただ、サラ・パターソンには『狼の血族』があります。
そこには、若く美しかったサラ・パターソンがいます。
映画雑誌やムックにも、写真というかたちで、あのころのサラ・パターソンがいます。
なによりも、わたしの思い出と記憶のなかに、あのころのままのサラ・パターソンがいます。

齢(よわい)をかさねると、諦念(ていねん)がそれなりに生じます。
悟りというほどおおげさなものではないですが、それに近いもの。
人はいつまでも、同じままではいられない。
のぼるときもあれば、くだるときもある。
現実は受け入れましょう、というような心境です。

ただ、かつてサラ・パターソンが美しく魅力的であったこともたしか。
心のなかではいまも、中学生のわたしが、『狼の血族』に主演した13歳(15歳)のサラ・パターソンをまぶしい目で見ています。

まことに、「花の色は移りにけりな」なのです。




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