FC2ブログ

Contents

企画案ではハマーンを討つのはジュドーでなくシャアだった(『機動戦士ガンダムZZ』)

シャア、ハマーンのネオジオンに参画

『ZZ』当初の企画案では、シャアは後半に登場する予定でした。
(以下、企画案の参考・抜粋:『機動戦士ガンダム大全集』講談社 1991)

ハマーンのもとにおもむき、ネオジオンに参画するシャア。
(「シャアは、地球連邦政府が、人々の宇宙移民を可決するのを見てから、ハマーン・カーン軍に参画する」)
シャアの力添えを受け入れるハマーン。

自分を捨てるようにしてアクシズを出ていき、再会した『Z』で数々の因縁の戦いを繰り広げたにもかかわらず、このとき、ハマーンは憧れの人(元恋人?)シャアが自分のもとにやって来たことを素直に喜んだのではないでしょうか。
なにしろ、『Z』において幾度も戦火をまじえたにもかかわらず、最終決戦であるコロニーレーザー(グリプスII)周辺の戦いにおいてすらエゥーゴからアクシズへの翻意をシャアにうながしていたのですから。

サラミス改の誘爆で百式もろともシャアが戦死(じつは生存)したときには、
「シャア……私と来てくれれば……くっ……」(『Z』最終50話)
と悔しさをにじませていました。
最後の最後まで、ハマーンにはシャアに対する強い未練があったのです。

そのシャアが、『ZZ』初期案では【私と来てくれた】はずでした。
しかし……。



シャア、ハマーンを討つ

ネオジオンに参加したシャアは、「一パイロットとして」かつての乗艦であった「アーガマに戦いを挑み」、ジュドーとも戦います。
まるで、「ジュドーの実践の教師」のように。

しかし、シャアの狙いはハマーンだったのです。
シャアは、「ハマーン・カーンにとって返す」。
「ハマーン・カーン軍の攻勢が始まった時」、シャアは「ハマーン・カーンを討つ」。

シャアとハマーンの戦いの経緯はくわしく記されていませんが、『Z』最終50話の戦いの続き的な意味からも、みなが納得する決着のつけかたからしても、モビルスーツ戦で雌雄を決したのではないでしょうか。

もしかしたら、ほぼ同性能のモビルスーツに乗ったのなら、ニュータイプ能力では劣っていても操縦技術や経験や精神的な粘り(「まだだ、まだ終わらんよ」『Z』最終50話)といったものでシャアのほうがハマーンより、より強いモビルスーツパイロットであったのかもしれません。



企画案では、ジュドー最後の敵はハマーンではなくシャア

このあと、シャアがジュドーと戦ったのかどうか、企画案からは今一つ明確ではありません。

ただし、ジュドーはシャアのありようを否定します。
「その最後の戦いの瞬間」(この最後の戦いなるものがシャアとの戦いであるのかどうかは明示されていません)、「ジュドーの意思が、全世界に放出される」(ニュータイプ能力による全世界への語りかけ)。
そこでジュドーは、
「同化しろ! 自己の主義を通すだけでは、人類は、解放されない。シャアのやり方は、自分が納得するだけの姑息なものだ」
シャアを否定します。
シャア自身もそれを聞いて、「シャアは、本当にそう思うのだ」と自分のやりようが正しくないことを認めています。

モビルスーツ戦の結末は不明ですが、ニュータイプ能力に関しては覚醒を果たせないシャアという『ガンダム』でも『Z』でも描かれたことがここでも踏襲されています。
少なくとも、ニュータイプ能力についてはアムロにも、カミーユにも、ジュドーにも勝てなかった人間として、シャアは『ガンダム』の物語を終えていくのです。

シャアはジュドーの最後の敵でした。
しかし、覚醒を知らない未完成のニュータイプとして舞台から退場するのです。



『逆襲のシャア』、シャアは最大のライバル・アムロとの戦いへ

しかし、この企画案の通りにはなりませんでした。
『逆襲のシャア』制作が、急遽、決定したのです。
シャアはアムロとの決着をつけるため『逆襲のシャア』へ。

『ZZ』出演がなくなったシャアの代わりにハマーンに謀反を起こすのは、同じ金髪美形で、人気も上々だった(ザビ家の血を引いているともされる)グレミー・トトに。
しかし、グレミーではハマーンを討つには役者不足。
ジュドーの最後の相手としても、グレミーでは物足りない。
……という判断があったのでしょうか、ジュドーの最後の敵はシャアではなくハマーンになり、ハマーンはシャアではなくジュドーに討たれることに。

かように、ハマーンは当初の案では主人公の最後の敵ではありませんでした。
『逆襲のシャア』によって、ハマーンはジュドーの最終的な敵となりました。
また、『逆襲のシャア』がなかったなら、アムロの最後の敵はシャアではなかったかもしれず、シャアの最後の敵はアムロでなくジュドーだったかもしれないのです。
シャアの最後の相手として、アムロとジュドーと、どちらのほうが多くの人たちを納得させたでしょうか。
わたしは、ジュドー・ファンの方たちにはたいへん申し訳ないのですが、アムロに圧倒的な軍配が上がると思います。
シャアとアムロには長い歴史があります。

もしそうであるなら、『逆襲のシャア』により、ハマーンはジュドーの最強の敵となり、シャアとアムロはたがいがたがいを最終的な相手として戦うことができるようになったわけです。



ハマーンは愛するシャアの手にかかりたかったのではなかろうか

では、すべての者が『逆襲のシャア』によって満足を得ることができたのでしょうか?
わたしは、そうは思いません。

ハマーンです。
ハマーンは、選ぶ権利があったのなら、最後の相手として……みずからを葬る者としてジュドーとシャアのいずれを選んだでしょうか?

ジュドーはハマーンのお気に入りです。
「帰ってきて良かった……強い子に会えて……」(『ZZ』最終47話)
これは、ハマーンの生前最後の言葉です。
亡くなるときも、ジュドーに会えたことを喜んでいます。

しかし、シャアを前にして最期を迎えたとしたなら、ハマーンはいかなる言葉を漏らしたのでしょうか。
わたしは、ジュドーのときを超える安らぎと幸福……もしかしたら至福を胸にあの世へ旅立ったのではないかと思うのです。

もしそうなら、ハマーンにとって『逆襲のシャア』はじつに余計な作品だったのかもしれません。



Comments

Post a Comment
管理者にだけ表示を許可する