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FAZZ(ファッツ)『ガンダム・センチネル』……悲運の高性能MS【張り子の虎/ハリボテ】、検証機から実戦へ



FAZZ

FAZZ。
Full-Armor-ZZ の略。
発音は「ファッツ」。

パイロットは、
04号機(FAZZ 04)、シン・クリプト(中尉)。
05号機(FAZZ 05)、ジョン・グリソム(少尉)。
06号機(FAZZ 06)、ロバート・オルドリン(少尉)。

フルアーマーZZガンダムの試験機。
頭頂高 :19.86m
全高  :22.11m
本体重量:45.4t
全備重量:94.6t
装甲材質:ガンダリウム・コンポジット
武装  :ハイパー・メガ・キャノン(主力兵装。全長はFAZZの全高を超える。ZZの頭部ハイメガキャノンの出力6割増し)
     ダブル・ビーム・ライフル(副砲。右前腕部にコネクター接続。主兵装だったZZのものより出力を抑えたバージョン)
     60mmダブル・バルカン(頭部左右に1基ずつ、1基の上下に砲口2門あるも、上部砲口はダミーのため左右の下部砲口2門のみ発砲可)
     AMA-09S 腕部ミサイルポッド(左前腕部装備)
     AMA-13S ミサイル・ポッド(バックパック左部装備)
     スプレー・ミサイル・ランチャー(左肩部正面装備)
     背部ビーム・カノン(ZZのようなビーム・サーベルの機能はなし)
     頭部ハイ・メガ・キャノン(機体バランスを検証するためのダミーで発射不可)
     腹部ハイ・メガ・キャノン(装備予定であったとも言われるが、試作機であるためダミーで発射不可)

FAZZは、模型雑誌『モデルグラフィック』企画の小説『ガンダム・センチネル』(1987~1990)に登場したMSです。
『ガンダム・センチネル』は「ペズンの反乱」を題材としています。
「ペズンの反乱」は、グリプス戦役末期の宇宙世紀0088年1月25日から4月5日にかけて、小惑星ペズンに駐留する連邦内エリート部隊である地球連邦軍教導団(ティターンズという説もあり)の地球至上主義の青年将校たちがニューディサイズを名乗り、ダカール宣言以後、エゥーゴ寄りになった地球連邦に反旗を翻した事件です。
『Z』の終盤から『ZZ』の序盤に相当する時期のことです。

FAZZは、このニューディサイズを追討するために組織されたα任務部隊に、Sガンダム(スペリオルガンダム)やZプラスC1(ゼータプラスC1)、ネロ、ネロトレーナー、EWACネロ(イーワックネロ)などとともに配備されたMS。

同時代のMSとしては度外れた火力を有し、しかし、そのため機動性に難のある機体。
その絶大な火力が無力化されたとき、弱点の機動性の低さゆえに悲劇を味わうことになるMSです。

FAZZは、いかなる悲運を経験するのでしょうか?




FAZZ 検証機・試験機であるのに実戦参加は無茶だった?

FAZZは、ZZのフルアーマー状態の機体バランスを検証するための試験機でした。
ですから、使えもしない頭部ハイ・メガ・キヤノンも、バランス検証のためにダミーとして備え付けられています。
しかし、ニューディサイズが蜂起したことにより、運用試験に回される予定だったFAZZはいきなり実戦に投入されました。

試合に出る予定ではなかったスポーツ選手が心の準備とフィジカルの調整に支障を来たしやすいように、FAZZにもなんらかの支障はなかったのでしょうか。
おそらく、実戦に必要でないものが余分についていて、実戦に必要なものがついていないというような差しさわりがあったのではないでしょうか。
たとえば、発射不能な頭部ハイ・メガ・キャノンがデッドウェイトになっていたり、将来的には発射可能になったかもしれませんが現時点では発射不可能な腹部ハイ・メガ・キャノンがこれまたデッドウェイトになっていたりします。
フルアーマーZZには施されていたビームコーティングがFAZZには施されていませんが、これは最初からコーティングする予定がなかったのか、急ぎ戦場に送り出すため泣く泣く省略したのか、いずれなのでしょう?

そもそもバランス調整のための検証機なので、検証の途中(それとも直前?)で実戦参加するハメになったFAZZは、実戦向きでない不安定なバランスの機体であった可能性が高いのではないでしょうか。




相手が悪すぎ【ブレイブ・コッド/ガンダムMk-V】

FAZZの火力には、すさまじいものがあります。
火力と射程については同時代のMSを凌駕しており、とくにハイパー・メガ・キャノンは当時の単独携行兵装のなかでは化け物じみた最高水準の出力(79.8MW)を誇っています。
このたぐいまれな火力と厚い装甲を活かした遠距離支援砲撃MSとして、実戦評価試験もかねて戦場に投入されました。

ただし、3機で1個小隊のFAZZ隊を構成していました。
これには疑問が残ります。
FAZZ隊のみで単独行動していた場合、その欠点である動きの鈍さにより高機動MSの敵の速さについていけないかもしれません。
ガンタンク(『ガンダム』『第08MS小隊』)やガンキヤノン(『ガンダム』『ポケットの中の戦争』)、ジムキャノンII(『0083』)のように、高機動MSの支援機として絶えず行動をともにする必要があったのではないでしょうか。

結局、FAZZ小隊は、単独行動中、高機動MSによって全滅させられます。

1機の敵によって。
しかし、そのMSとそれを駆るパイロットは当時一流、あるいは超一流のMSとMSパイロットでした。

MSは、ガンダムMk-V。
パイロットは、ブレイブ・コッド。

ニューディサイズ最強のパイロットとMSでした。
天性のカリスマ性にも恵まれたニューディサイズの指導者でもあります。

FAZZ小隊と戦闘に入ったブレイブ・コッドは、アウト・レンジからのハイパー・メガ・キャノン一斉射撃にたいし強襲をかけ急接近します。
3機のFAZZが乱れ撃ちした近接ミサイルの弾幕斉射も、ブレイブ・コッドは急制動をかけ、歯を食いしばり、奥歯が砕け、口のなかを血まみれにしながらも尋常でない高いGを耐え抜いて回避しました。
そこから、FAZZ小隊は不得手な接近戦に一瞬のうちに持ちこまれ、全機撃破されてしまいました。

04号機のシン・クリプトは機体から脱出して生還。
05号機のジョン・グリソム、06号機のロバート・オルドリンは戦死。

ガンダムMk-Vの損害は、インコムが使用不能になったことのみ。
敵が当時最強クラスのMSとはいえ、3機まとめて1機のガンダムMk-Vに完敗を喫したのです。

急ごしらえで戦場投入、動きの鈍重なMSのみで小隊を組み、相手が当代一流のパイロットとMSであった……これらいくつもの不運が重なったからでしょうか、高コストであり、たぐいまれな高火力ゆえに支援用MSとしてはたいへん優秀であったFAZZの小隊はもろくも潰(つい)えさったのです。




FAZZ……GFF、ジョン・グリソム、ハイパー・メガ・キャノン

模型をつくらない(つくっても萎えるくらいにヘタ)なわたしは、2000年代の一時期、完成品のGFF(GUNDAM FIX FIGURATION/ガンダム・フィックス・フィギュレーション)と、そのジオン版であるZEONOGRAPHY(ジオノグラフィー)を買い集めていました。
わたしの買い求めた10いくつかの機体のなかで、マイナーMSもいいところのFAZZはかなりのお気に入りMSでした。

なにしろ、重量感があります。
パーツが多いうえに、重装甲特有のゴツゴツしていて全身筋肉のかたまりといったようなマッシブな体形をしています。
堂々たる風采なのです。

それに、ハイパー・メガ・キャノンの巨大なことといったら。
サービスなのか、設定画よりもさらにFAZZ本体と比較して巨大な印象があります。
FAZZの全高を優に超しています。
そのボリュームのある巨大兵器には、『宇宙戦艦ヤマト』のヤマトの波動砲のような「見える巨大兵器」の魅力とロマンがおういつとしています。
フロイト心理学流にいえば、それはおのれのペニスを補うための「武器」になるのさ、ということになるのかもしれませんが、あまりフロイト心理学を信じていないわたしとしては、その魅力やロマンがどこから来るのかいまひとつわかりませんが、やはり、巨大兵器の迫力には抗いがたく魅了されるのです。

ちなみに、わたしの持っているFAZZは、ジョン・グリソムの05号機(FAZZ 05)です。
主人公のリョウ・ルーツ(Sガンダムのパイロット)とケンカしたりFAZZ隊の小隊長だったりで『ガンダム・センチネル』の主要人物の一人である04号機のシン・クリプトに対して、06号機のロバート・オルドリンとともにジョン・グリソムはセリフの一つもあったのかどうかわからないような端役(はやく)です。

つまり、人気がないから売れ残っていたのかもしれないジョン・グリソム機かもしれませんが、わたしはこの05号機が気に入っています。
04号機のシン・クリプトは戦死していません。
ジョン・グリソムとロバート・オルドリンは戦死しました。
05号機と06号機には生命を散らしたパイロットが乗っていたのです。
一人の人間の棺桶になった……一人の人間の最後の居場所だった……それだけでも、わたしは05号機と06号機は04号機よりも貴い存在に思えるのです。



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