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『巨神ゴーグ』3万年の冒険の旅







人家もなく、通行人も自転車も自動車もほとんど通らないような寂しい場所の工事現場を目にすると、いまだに『巨神ゴーグ』(1984)を思い出します。


巨神ゴーグ』では、あるものを探し、新オウストラル島という南太平洋の無人の島の各処で発掘作業がおこなわれています。
ジャングルや渓谷など、人跡未踏の辺鄙な場所で。


発掘作業は、『巨神ゴーグ』の最大の謎でありテーマであるあるものへと行き着くための、重要な行為なのです。


しかし、そのあるものがなんなのか終盤になるまでさっぱりわからない。
なぜ、各地でこのような無益な発掘作業をしているのか、首をかしげていました。


あるものの正体が判明したとき、発掘の意味を理解しました。


あるものは、成熟しきっていない現在の人類にとって、禁断の扉のむこうにある触れてはならないものでした。





巨神ゴーグ


ストーリーは、あるものがネタバレしない範囲で御紹介します。
あるものは、この作品のキモです。
あるものの正体を知ってから観るのにも耐えうる作品だとは思います。
しかし、まず最初は、主人公たちとともに、なにがなにやら自分が置かれている状況がわからぬままに、敵に追い立てられながらオウストラル島を冒険することをお薦めします。


作品を観るつもりはないが、あるものがなんなのか知りたいという方は、ネットに必ずその言及があると思います。
ただ、作品を観ていないとあるものの正体を知ったとき、「なんだそういうこと……それだけ?」という薄い反応しか得られないと思います。


あるものは、SFや冒険物語ではありがちな秘密なのです。
その絵空事ともいえるあるものの出現から衝撃を受けるには、スパイスが必要です。


リアリティーというスパイスが。


監督である安彦良和が、終盤までに幾重にも積みあげていくリアルロボットアニメとしはあまりにも地味なリアリティーの数々があってこそ、終盤であるものの登場によって物語は一挙に弾けるのです。
その弾け具合を体験するには、全26話を観てもらうしかないかと……。


無料か低価格で見放題の配信チャンネルで鑑賞できるかもしれませんので、興味がおありなら、そちらでもどうぞ。


ただ、この『巨神ゴーグ』、終盤のあるものが登場するまで、本当に地味なんですよね。
同じ時期に放送していた富野監督の『エルガイム』などとくらべても相当に地味、ファン投票の年間グランプリでもまったく話題になりませんでした。


しかし、その地味さに裏打ちされたリアルさこそが、あるものが舞台に登場してきたとき、あるものを突飛なものと思わせない、本当ならリアルでないものに、リアルっぽい生命をあたえている基本だと思いますので、できるだけ途中で「観るのやめた」というふうにならなければいいなと……。


さりとて、物語終盤まで観れば、面白さを保証できるのかといわれれば、それもできません。


この作品は難しいのです。
面白さを保証するのが。
地味なんですよ、やはり。


人生で最高のアニメに『巨神ゴーグ』を挙げる人を2人、知っています。
一人はガンダムの本を執筆された人で、そのガンダムの本に正直に、ガンダムよりも『巨神ゴーグ』が好きなこと、自分にとっては『巨神ゴーグ』が一番のアニメ作品であることをつつみかくさず述べていました。
かなり有名なアニメでも人生最高のアニメに挙げられるのは難しいなか、『巨神ゴーグ』のような超マイナーな作品を2人が挙げているというのは凄い。


ただ、多くの人は最終回までたどり着くことなく、南太平洋の島の冒険からおりてしまいます。
最終回にまで行き着いたとしても、それが面白いと保証することはできません。
もう1度いいます、地味なんですよね。
地味すぎかも……。


やはり、自己の責任で観てもらうしかないのです。


参考文献下の通りです。
『サンライズアニメ大全史』(辰巳出版 1997)
『スーパーロボット画報』(竹書房 1997)
『戦え! 全日本アニメロボ大全集70~80年代篇』(双葉社 2012)
『懐かしの80年代アニメ大百科』(双葉社 2014)


1984年4月5日~9月27日
木曜日19:00~19:30
全26話
安彦良和(企画・原作・監督・キャラクターデザイン・ロボットデザイン・作画監督・絵コンテ)
    (代表作:『ガンダム』キャラクターデザイン・作画監督、『ガンダム・ジ・オリジン』原作・総監督など)




・巨神ゴーグ・あのころの2018・8・9
                             picture by あのころの




オウストラル島


物語の舞台は、
南太平洋。
サモア諸島東南2,000キロに浮かぶ火山島・オウストラル島
旧島と陸続きの新島の2つからなり、オウストラル旧島は太古より存在、オウストラル新島は比較的最近【出現】したとされています。


オウストラル島はジャングルにおおわれ、山あり、谷あり、川あり、荒地あり、岩石地帯あり、冒険にはうってつけの土地です。


巨神ゴーグ』は、オールドタイプの冒険譚復活をねらった作品です。
昔懐かしのジュブナイルの冒険物語。
そこに、ロボットと【あるもの】をからませる。


冒険には、苦難と敵から隠れる場所、そして秘密の眠る辺境の奥地が必要です。
苦難のなかで主人公たちは成長し、劣勢のなか敵から隠れつつ旅をつづけ、人跡未踏の大地に眠る秘密に出会うのです。
オウストラル島は、その【冒険の旅】の舞台になります。






GAIL


世界を握る秘密」が眠るとされるオウストラル新島は、各国とも太いパイプをもつ世界的な巨大コングロマリット(複合企業)GAIL(ガイル)により、世界からその存在を隠されてしまいます。
ないことに。
情報統制です。
世界を握る秘密」を独占するため、出現したばかりのオウストラル新島の存在を闇に隠してしまう。


GAILとは、世界の各国と密約を結び、世界から島1つをないことにしてしまうような荒業(あらわざ)が可能な、世界的に絶大な力をもった企業組織なのです。


目的は、もちろん、「世界を握る」ため。
世界征服などという絵空事が絵空事でなくなる、巨大な力を手に入れるため。


GAILは、そのため、無人の新オウストラル島の各処で発掘作業を展開していました。






田神悠宇


主人公は田神悠宇(たがみゆう)。
13歳。
父親の田神博士(GAILにより殺害)がオウストラル島の秘密を研究していたため、GAILに命を狙われ、事件に巻き込まれることに。
しかし、それだけではありませんでした。
この島にかかわることになるのは、悠宇の運命だったのです。
その真実は終盤に明かされます。


ヒロインはドリス・ウェイブ。
14歳。
元気な優しい女の子。
いい子すぎて、毒がないため影は薄め。
『ガンダム』のフラウ・ボウに、そんなところが似ているかもしれません。
安彦良和の好みのタイプなのかも。


ドリスの兄がトム・ウェイブ。
田神博士の弟子で、その縁でウェイブ兄妹は悠宇と知り合うことに。
学者としては非常に優秀ですが、生活力がなく、世事にうとく、悪い人ではないが頼りない。







恋愛濃度、薄すぎ


地味であることを先程強調しましたが、その理由の1つ(最大のもの?)が恋愛要素の少なさです。


田神悠宇は、父の意志であるオウストラル島の謎と青い巨神との友情に夢中。
ドリスは、頼りない兄のめんどうと、危険に首をすぐ突っ込む悠宇を心配することにいそがしい。


主人公とヒロインが、13歳と14歳ということもあるのでしょうが、たがいに好きは好きでも恋愛のほうにいかないのです。
いや、13、14歳なら、濃厚に恋愛を意識する年ごろのはずなのですが、そのへんがまだ未発達なのです、とくに悠宇のほうが。


ドリスの、恋愛より、兄や悠宇のめんどうを見たり、心配したりするほう優先というのも、『ガンダム』のフラウ・ボウに似ています。
アムロのめんどう見たり、心配したり。
ドリスもフラウも、いい子すぎるんですよ、だから、つい、母性本能からか手を差し伸べてしまう。
恋愛は、そのぶん、後退してしまう。


以前、『ガンダムエース』の安彦監督の編集後記かなにかに、好きなタイプはフラウと書いてありましたが、ドリスもまた好みのタイプなのかもしれません。
恋愛にうといのも、安彦監督の好みなのかもしれないですね。


そもそも、『巨神ゴーグ』には、美少年・美少女、美女・美男子が少ない。
あまりにもそれらを乱発しすぎて、違和感のありすぎるアニメ作品とは対照をなしています。
そのへんリアルなのですが、作品に華やぎが欠けるのも事実。


わたしは、その恋愛要素や美少女・美女の要素がとぼしいところもリアリティーがあって良いなとは思いますが、万人受けしない原因の1つになっていることは確かでしょう。


ドリスは可愛い女の子ですし、悠宇も可愛い顔をしています。
しかし、2人は恋愛に無頓着。


その他に、主要なキャラクターでは、レイディ・リンクスとロッド・バルボアが美女と美男。
なのですが、レイディ・リンクスは姉御肌のギャングの女ボスで、かつて恋人だった自分を捨てたロッドに復讐を誓っているという剣呑な美女。
ロッドはルックスはシャア的、声はもろにシャア(池田秀一)の美男子ですが、こちらも、オウストラル島の「世界を握る秘密」にお熱で、恋愛より野望を優先中。
終盤、2人はよりを戻しますが、それくらいが恋愛要素なのでは?


主要キャラでは4人だけ。
脇役は、ほぼ皆無。
それが、この作品の美少女・美少年、美女・美男キャラのほぼすべてです(わたしの覚えている範囲ではですけど)。


他の少年少女・妙齢の女性も、悠宇とドリスの仲間になるオウストラル旧島の住人、14歳のサラとアロイくらい。
圧倒的におじさんが多く、そのほとんどが、とにかくごつい顔しているのも、この作品の(というより、安彦良和作品の)特徴です。
これでは、美少女や美少年に馴れたアニメファンやマニアには地味にうつるのもしかたない。


しかも、悠宇とドリスも、レイディ・リンクスとロッド・バルボアも、前2者は最後まで、後2者は終盤まで恋愛にほぼ無縁というありさま。


当初人気のなかった『ガンダム』を最初に熱烈に支持したのが、美青年のガルマとシャアに目を付けた女性ファンたちという説がありますが、あの華やかさ(華やかすぎて同性愛的ですらある……)は『巨神ゴーグ』にはなく、女性人気を得るのも難しかったでしょう。


しかし、恋愛がやたら多すぎるアニメに閉口している人には、わりといけるかもしれませんよ。
……責任はもてませんが。






謎の地鳴り


オウストラル島全体にときおり響く、原因不明の巨大な地鳴り


神秘的な地鳴り


物語の中でも、忘れたころに鳴り響く、神の怒りを表現するかのような巨大な地鳴り


この地鳴りが、じつは、物語の鍵である【あるもの】へとつづく伏線になります。
地鳴りの鳴り来る、その源には……。


遠方の轟音を聞くと、わたしは『巨神ゴーグ』のこの地鳴りを思い出します。
雷鳴とか。


雷は、神鳴りで、神がそこにいることを告げ知らせます。


日本神話やギリシア神話を題材にした漫画をいくつも書いている安彦良和は、雷=神鳴りの意味も知っているでしょうし、実際、漫画のなかで雷鳴と稲光を効果的につかう漫画家でもあります。
神や神的なものの出現のさいには、背後でよく雷光がかがやき、雷鳴がとどろいています。
神の住まう宮殿の背景にも、よく雷光と雷鳴が。


巨神ゴーグ』の地鳴りは、神鳴りと同様のものでしょう。
地鳴りは、なにを告げ知らせようとしているのでしょうか?


神のような存在です。


しかし、神には穏やかな面と荒ぶる面があるのが通常です。
人に幸福をもたらす穏やかな魂。
人に天罰をくだす荒ぶる魂。
神が荒ぶるとき、人は恐怖し、逃げまどい、ときに絶命を余儀なくされるのです。





青い巨神ゴーグ


亡き父の意志を継ぎ、オウストラル島に渡った悠宇たちの前に……。


ゴーグ


全長13.5mの青い巨人
体重は12.5t。


自律型ロボット。
自分の意思で動きます。
高度な人工知能をもっていますが、はっきりした人語をしゃべるわけではなく、ただ、悠宇とはテレパシーかなにかで意思の交流が可能。


ダイヤモンドでも傷つかない機体強度をもち、じっさい、GAILはかなり強力な私設軍隊をもっていますが、その戦車や戦闘用ヘリコプターの猛爆撃にも耐えられます(ただ、爆圧や爆風でよろめいたりはしますが)。
大気を変換してエネルギーにする、自己修復が可能と、味方にとっては頼もしく、敵にとってはウンザリするようなタフで厄介な相手です。


戦うときは、悠宇の要望をいれつつ、基本的にはみずから思考して戦闘します。


得意技は、投げ技(投げるのは巨大な岩石、戦車など)、殴る、蹴る。


飛び道具の武器はなし。
飛び道具は、【ある人との約束】で、いっさい使いません。
【ある人】とは、悠宇の……。


この青い巨神ゴーグオウストラル旧島の住民からは神(または神の使い)として崇められています。
青い自律型ロボットは、未来から来た猫型ロボットと同様、人にしたわれる性(さが)をもっているようです。


青い巨神ゴーグに守られた悠宇たちは、オウストラル島の奥へ奥へと冒険の旅をつづけます。
その行き着く先には、世界の秘密であるあるものと、悠宇の運命の秘密とが……。



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プロフィール

大検高校

Author:大検高校
1970年代前半生まれ。
栃木県出身・在住。
趣味は、アニメ・漫画・小説・歴史など。
とくに、80年代のものが好き(懐古趣味)。
偏差値40前半の高校入学・中退、大検合格、1浪して早稲田・政経経済へ。
大学受験のころから記憶の障害にかかり、大学卒業後も長期療養、2006~8年頃完治、のち10年間の趣味・勉強をしつつのリハビリのすえ2018年ブログ開始。
どうぞ、よろしく。

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2学期、皆さんがんばってください /学校がどうしてもいやなら、無理しないで休んでもいいとおもいますよ /偏差値上位の受験生に、追いつき、追い越せです

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