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TAKARAファンタスティック映画祭【1985】(第1回東京国際ファンタスティック映画祭)……全17作品紹介


TAKARAファンタスティック映画祭 全17作品

1. フェノミナ
2. ファイヤー&アイス





ファンタが日本にやって来た!(ファンタってホントにいるのかなあ?)

日本のホラー映画ファンたちは、海外のファンタスティック映画祭を指をくわえて見ていました。
趣味を同じくするものたちが一堂に会し、ホラー映画、SF映画、ファンタジー映画などを楽しむ祭りの自国開催を待ち望んでいました。

それは、1985年に実現しました。
TAKARAファンタスティック映画祭(第1回東京国際ファンタスティック映画祭【東京ファンタ】)。
東京の渋谷にある東急文化会館内の渋谷パンテオンが、その祭典の舞台。
祭りの期間は85年の5月31日~6月7日でした。

当時、栃木に住む中学生だった自分は、映画雑誌を手繰りながら「TAKARAファンタスティック映画祭」なるエキゾチックな名称の映画祭に熱いまなざしを送っていました。


以下に、TAKARAファンタスティック映画祭(1985) 全17作品をご紹介いたします。



フェノミナ

1985
イタリア
1時間51分
監督:ダリオ・アルジェント
出演:ジェニファー・コネリー
   ダリア・ニコロディ
   ドナルド・プレザンス
   タンガ【チンパンジー、名優】

☆スイス・チューリッヒ校外の名門寄宿制女子学校に転校してきたジェニファー(ジェニファー・コネリー)は、少女ばかりを標的にした連続殺人事件に巻き込まれる。


◯美少女映画の決定版と言ってもよろしいのでは?
のちの80年代後半に、日本の「スクリーン」や「ロードショー」で女優人気投票1位を獲得するまでになるジェニファー・コネリーが、もっとも魅力的に美しく映像におさめられた作品が本作だったと自分は思っています。
これまた絶景でミステリアスなスイス・アルプスを背景に、当時、世界最高の美少女の一人だったジェニファー・コネリーがこれでもか、これでもかというくらい可憐で神秘的な美しさをさらけ出しています。

ホラー映画の世界的大巨匠ダリオ・アルジェントの『サスペリア』などと並ぶ代表作でもある本作、栄えある日本最初のファンタスティック映画祭においてオープニングを飾ったのも納得のホラー映画史上に残る大傑作。





ファイヤー&アイス

1982
アメリカ
1時間22分
監督:ラルフ・バクシ
出演(声優):スーザン・ティレル
      マギー・ロズウェル

☆凶悪な魔王ネクロンの天下征服の野望に、火の国に住む英雄ジャロルが立ち向かう。

◯未見





13日の金曜日Part5

1985
アメリカ
1時間32分
監督:ダニー・ステインマン
出演:ジョン・シェパード
   シェイヴァー・ロス
   メラニー・キンナマン

☆ジェイソンは6年前に死んだのではなかったのか?
クリスタル・レイク周辺で、再び惨劇が始まる。
犯人は、誰なのか?
生き返ったジェイソンなのか?

◯美しく澄んだ神秘的なクリスタル・レイクと、おぞましい血の惨劇のコントラストが、クリスタル・レイクの美しさをさらに際立てています。

いったんはジェイソンの死によって終幕したはずの『13日の金曜日』が再始動。
1~4までは個人差はあれど比較的評価の高い『13日の金曜日』ですが、5以降は好評不評入り乱れといった感じでしょうか?
自分的にはPart5まではお気に入りなのですが。





蜀山

1983
香港
1時間37分
監督:ハーク・ツィ
出演:ユンピョウ
   リン・シンシャー
   ジュディ・オング
   サモ・ハン・キンポー

☆内乱に明け暮れる蜀山の国を乗っ取ろうとたくらむ、悪魔軍団を率いる血に飢えた魔王。
その魔王に挑む、蜀山の国を救うよう運命づけられた青年・秋明奇(ユンピョウ)の物語。

◯未見
当時、クンフー映画の大スターだったユンピョウ主演のクンフー・アクションと特撮が結びついたファンタジーな作品。
ユンピョウの盟友であるサモ・ハン・キンポーも、長い白ヒゲをたくわえた仙人として登場。





コールド・ルーム

1983
イギリス
1時間36分
監督:ジェームズ・ディアデン
出演:アマンダ・ペイズ
   ジョージ・シーガル
【アヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭 審査員特別賞(1985)】

☆ベルリンを訪れた現代の17歳の少女カーラ(アマンダ・ペイズ)は、宿泊先のホテルで、幻覚を見るようになる。
第二次大戦中、ナチスに支配されていたベルリンに実際住んでいた自分とよく似た少女クリスタの幻覚を。
かつて、いまはホテルになっている宿泊先の部屋に住んでいたクリスタと、外見や境遇が酷似しているため感応したがゆえの幻覚であった。
次第に、幻覚により情緒不安定になるカーラ。
そんなとき、幻覚のなかのカーラ(クリスタ)は、ゲシュタポに追われるユダヤ人男性エリックと出会うことに……。

◯幻覚に精神を犯されていくミステリアスなカーラを、映画初出演にして主演に抜擢されたアマンダ・ペイズが演じています。
非常に綺麗な女優さんですが、女優としては大成しなかったようなのが残念。

『ターミネーター』がグランプリを獲得した85年のアヴォリアッツで、『狼の血族』とともに次席か三席に相当する審査員特別賞を受賞しました。
『狼の血族』のヒロインを演じたサラ・パターソンも映画初出演にして主演に抜擢されましたが、自分的には世界最高の美少女の一人だと思っていたサラ・パターソンも女優としては大成しませんでした。
二大美少女の夢のあと……といった感じです。





2つの頭脳を持つ男

1983
アメリカ
1時間33分
監督:カール・ライナー
出演:スティーヴ・マーティン
   キャサリン・ターナー
   デイヴィッド・ウォーナー

☆頭が少々おかしい医者と、男と見ればすぐに寝たくなる色情狂の女性のロマンスを描いたSFコメディー作品。

◯未見





レイザーバック

1984
オーストラリア
1時間35分
監督:ラッセル・マルケイ
出演:グレゴリー・ハリスン
   ジュディ・モリス
   ビル・カー

☆オーストラリアに棲む伝説の巨獣(超巨大イノシシ?)レイザーバックとの果てることなき死闘。

◯未見。
雄大で荒々しいオーストラリアの原野を舞台に、ミュージックビデオ出身の監督による独特の光と影の映像美が、当時、マニアのあいだでちょっと話題でした。





レディホーク

1985
アメリカ
2時間4分
監督:リチャード・ドナー
出演:マシュー・ブロデリック
   ルトガー・ハウアー
   ミシェル・ファイファー

☆13世紀のイタリア。
横恋慕した悪の司教によって呪いをかけられた恋人たち。
伯爵令嬢イザボー(ミシェル・ファイファー)は昼の間だけ鷹に、騎士ナバール(ルトガー・ハウアー)は夜の間だけ狼に変身させられてしまう。
二人が人間として逢うことができるのは、日の出と日没の一瞬だけ。
呪いを解くために騎士ナバールは、悪の司教の命を狙っていた。
そのナバールに助力する、ひょうきんなスリの少年フィリップ(マシュー・ブロデリック)も奮闘する。

◯ふだんは人間と鷹、人間と狼として旅をする恋人たち。
人間としての逢瀬は、日の出と日没の一瞬だけ。
そんなロマンチックな設定が、少なからぬ人たちの胸を焦がしました。

ただ、主人公のフィリップの存在感はいまいち。
当時の若手スターだったマシュー・ブロデリックも、美しすぎるミシェル・ファイファーと男の色気を持つルトガー・ハウアーの存在感の前にはかすんでいたような……。





最後の戦い

1983
フランス
1時間30分
監督:リュック・ベッソン【デビュー作】
出演:ピエール・ジョリヴェ
   ジャン・ブイーズ
   ジャン・レノ
【アヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭 審査員特別賞&批評家賞(1983)】

☆気候変動による大暴風で破壊された近未来世界を舞台に、地上のどこかに生き残っている女性のため4人の男たちが最後の戦いを繰り広げる。

◯未見。
モノクロ、無声の思索的SF。

「フランスにもついにスピルバーグが誕生」と絶賛された弱冠24歳のリュック・ベッソン初監督作品。
アヴォリアッツで次席と三席に相当する審査員特別賞と批評家賞をW受賞。
新生誕生の予感に当時のマニアたちを騒がせました。
いまや、フランス映画界の大巨匠となったリュック・ベッソンの飛躍のきっかけになった作品です。

リュック・ベッソンにとっては、『サブウェイ』『グラン・ブルー』『ニキータ』『レオン』(以上監督)、『WASABI』(製作・脚本)『クリムゾン・リバー2』(脚本)など数多くの作品で組むことになる俳優ジャン・レノとの初仕事でもあります。
デヴィッド・リンチとカイル・マクラクラン、サム・ライミとブルース・キャンベルのような腐れ縁ですなあ。





悪魔の密室

1983
オランダ
1時間39分
監督:ディック・マース
出演:ハーブ・スターペル
   ウィレケ・ヴァン・アメローイ
【アヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭 グランプリ(1984)】

☆新築の高層ビルのエレベータ内で奇怪な事故死が相次いでいた。
 その犯人は、自己の意思を持ち、密室で殺人を繰り返すエレベータ自身だった……。


◯未見。
ファンタスティック映画祭の最高峰ともいえるアヴォリアッツのグランプリ作品であるにもかかわらず、評価も知名度も低い。

84年、グランプリを逃して次席か三席に相当する批評家賞に甘んじた『デッドゾーン』(クローネンバーグ監督作品)は、いまなおホラー映画の古典的名作であり、当時からマニアたちの話題の的。
それに比べ本作のほうは、いまや忘れ去られたグランプリ作品であり、それどころか当時から話題にのぼること乏しい作品でした。

当時の雑誌やムックでの取り上げ方も、『デッドゾーン』や『フェノミナ』『エルム街の悪夢』『13日の金曜日Part5』などの話題作に、大きくおくれを取っていました。
それどころか、ホラー映画マニア以外には無名だった『レイザーバック』や『コールド・ルーム』にすら、紙面の優先度が劣位にあったような……。

アヴォリアッツ映画祭の第1回(73年)から最後の第21回(93年)までに(76年の該当作なしを挟んで)20のグランプリ作品が誕生しましたが、そのなかでWikipediaで独自の項目を立てられていないのは5作品のみ。
本作品も、その一つです。

ネットでの評価も、「アヴォリアッツでのグランプリ受賞は疑問」など厳しいものがほとんどでした。
(ちなみに、本作はDVD化されていません。
ですから、中古のVHSビデオソフトがいまでも現役最前線の模様。
アヴォリアッツのグランプリ作品なのにDVD未発売?)





エルム街の悪夢

1984
アメリカ
1時間40分
監督:ウェス・クレイブン
出演:ヒーザー・ランゲンカンプ
ロバート・イングラム
ジョン・サクソン
ジョニー・デップ【俳優デビュー作】
【アヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭 批評家賞(1985)】

☆寝たら殺される……夢の中で襲い来る殺人鬼フレディとの戦い。

◯85年前後、ホラー映画界の花形でした。
ホラー映画の雑誌でもムックでも、本作は頻繁に取り上げられていました。
夢と結びついたミステリアスな映像が、注目されていましたね。





ハウリング2

1985
イギリス
1時間30分
監督:フィリップ・モラ
出演:クリストファー・リー
   シビル・ダニング

☆狼人間になり死んでいったカレン・ホワイト(前作『ハウリング』の主人公)。
カレンの弟ベンと親友のジェニー、そして、二人の前に突然あらわれカレンの死の真相を告げるオカルト研究家ステファン(クリストファー・リー)たちの、あらたな狼族との戦いが始まろうとしていた……。

◯未見。
狼人間になってしまった人間の哀しさと悲劇的な結末を描いて、新しい狼男映画の金字塔になった大傑作『ハウリング』(1981)の続編。
そのため、当初は話題を集めていたのですが、出来は前作に遠くおよばなかったようです。

狼族の女王を演じたシビル・ダニングは、マニアのあいだではそのセクシーさに定評がありました。
それゆえか、エロスに力を入れ過ぎて、前作の大きな魅力であった狼人間になってしまった人間の悲哀、寂しさ、悲しい運命といったものが疎かになってしまった印象が……。





XYZマーダーズ

1985
アメリカ
1時間30分
監督:サム・ライミ
出演:リード・バーニー
   シェリー・J・ウィルスン
   ブルース・キャンベル

☆ビデオ防犯システム工事などを請け負う警備会社につとめる気弱なヴィックは、一目ぼれした美女ナンシーを追いかけるうちに、二重三重の殺人事件の渦中へと巻き込まれていく。


◯わたしの感想としては、「どこが、おもしろいのかわからない」といったところでしょうか。
ホラー・コメディーという位置づけらしいのですが、コメディーというより悪ノリのドタバタ喜劇としか思えませんでした。

大傑作『死霊のはらわた』(81)のサム・ライミ監督作品として期待していただけに、かなりがっかりでした。
サム・ライミはその後も傑作・佳作映画をいくつも制作していますので(『ダークマン』(90)『キャプテン・スーパーマーケット』(93)『クイック&デッド』(95)『スパイダーマン』(02)など)、才人もときに愚作をつくってしまうということなのだろうな、と。





山中傳奇

1979
香港
2時間
監督:キン・フー
出演:シー・フン
   シルヴィア・チェン
   シン・チュン
   ツン・リン成果との

☆若い学僧・雲青の前に現われるのは二人の美女(でも、じつは幽霊)、そして数々の悪霊・妖怪。
11世紀の中国・宋の時代、西域における西夏との戦いで落命した兵士たちを鎮魂する経典の写経を頼まれた雲青をめぐる怪異に満ちた伝奇アクション。

◯未見
香港の黒澤明の異名を持つ、寡作とはいえ世界中の映画祭で数多くの賞を獲得した監督の代表作。




デッドゾーン

1983
カナダ
1時間40分
監督:デイヴィッド・クローネンバーグ
出演:クリストファー・ウォーケン
   ブルック・アダムス
   マーティン・シーン
【アヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭 批評家賞(1984)】

☆相手の過去・現在・未来を読み取ってしまう超能力を身に着けたジョニー(クリストファー・ウォーケン)の悲劇。
予知能力によって知ってしまった真実、それは大統領スティルスンが第三次世界大戦を引き起こすということ。
ジョニーは、大統領暗殺の汚名をかぶってでもスティルスンを排除しようとする。

◯未見
「特別な力」を持った人間の悲劇を真っ向から描いた本格派超能力もの。





銀河鉄道の夜

1985
日本
1時間47分
監督:杉井ギサブロー
出演(声優):田中真弓
      坂本千夏
      堀絢子
      一条みゆ希
      島村佳江

☆少年ジョヴァンニとカムパネルラは、汽車に乗って銀河宇宙への幻想の旅に出発する。


◯アニメ作品。
主要登場人物は、擬人化された猫たち。
ひたすら優しい作品。
あまりにもピュアな物語。
最後は、驚きの(しかし、なんとなく予想はできるかも)結末が。
子供たちに、おすすめの大傑作。

ファンタスティック映画の良心を代表する良作。





クリープショー

1982
アメリカ
1時間40分
監督:ジョージ・A・ロメロ
出演:ジョー・ヒル
   ヴィヴェカ・リンドフォース
   スティーブン・キング
   レスリー・ニールセン
   ハル・ホルブルック
   E・G・マーシャル
   トム・サヴィーニ

☆五つの短編からなるオムニバス・ホラー。

◯未見
監督は『ゾンビ』などでお馴染み、ホラー映画の大巨匠ジョージ・A・ロメロ。
出演者には、ホラー小説の大巨匠スティーブン・キング(ハンサムだとの評判だが)や特殊メイクの大巨匠トム・サヴィーニなど。
オムニバス・ホラーを代表する傑作。


【『SF/ホラー シティロード5月号増刊』(1985、エコー企画)を参考にいたしました】





TAKARAファンタスティック映画祭(1985) 上映スケジュール

●5/31(金)
開会式&フェノミナ

●6/1(土)
ファイアー&アイス
13日の金曜日Part5
蜀山
コールド・ルーム

【ファンタスティックナイト!(22:00~6:00)】
クリープショー
最後の戦い
エルム街の悪夢
デッドゾーン

●6/2(日)
2つの頭脳を持つ男
レイザーバック
レディホーク

●6/3(月)
最後の戦い
悪魔の密室
コールド・ルーム

●6/4(火)
ファイアー&アイス
エルム街の悪夢
ハウリング2

●6/5(水)
XYZマーダーズ
蜀山
山中傳奇

●6/6(木)
山中傳奇
XYZマーダーズ
デッドゾーン

●6/7(金)
レイザーバック
銀河鉄道の夜
閉会式&クリープショー

【『SF/ホラー シティロード5月号増刊』(1985、エコー企画)参照】


上映時間は、だいたい昼12時過ぎから夜9時くらいまで。
6月1日の土曜日だけはオールナイト上映が、夜10時から朝の6時くらいまで。

ちなみに、料金は1200円、オールナイトは2000円です。
たぶん1作品当たりの料金だと思われますが、詳細は不明です。



 
祭典の終焉

「東京国際ファンタスティック映画祭」も、スポンサー探しが難航して2005年で幕を閉じました。
希望に燃えて始まった日本のファンタスティック映画祭は、1985年から2005年まで開催されました。

そのあいだ、数多くの思い出と感動(場合によっては失望と落胆)がいくつも誕生したことでしょう。
日頃、後ろ指さされやすいホラー映画ファン(……泣)たちが夢を見た祭りの記憶として、「東京国際ファンタスティック映画祭」は少なからぬ人たちの胸にいつまでも刻みつけられていくことでしょう。